国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

旅・いろいろ地球人

パリの現代建築

(1)モンパルナスタワー 『毎日新聞(夕刊)』掲載 2017年1月12日刊行

園田直子(国立民族学博物館教授)


レンヌ通りから見たモンパルナスタワー=パリ14区で2016年9月、筆者撮影

パリ14区には、59階建て、高さ210メートルのモンパルナスタワー(1973年完成)がそびえている。

パリの象徴エッフェル塔が1889年に建設されたときと同じように、モンパルナスタワーもその高さと近代的な材質ゆえに景観論争を巻き起こした。当時は「パリで一番景色がよい場所は? モンパルナスタワー。だって、そこにいればタワーが見えないから。」と冗談半分の悪口がささやかれていたが、いつのまにかパリのランドマークになっている。

パリの人びとは、おいしいクレープが食べたくなるとモンパルナス界隈に行く。19世紀、首都とフランス北西部のブルターニュ地方を結ぶ鉄道が開通し、パリで仕事をみつけようと多くの人がモンパルナス駅に降り立った。ブルターニュ地方の土地はやせており小麦には向かないが、ソバの栽培は盛んである。今でもモンパルナス駅やタワーの一角には、ブルターニュ地方の郷土料理ガレット(ソバ粉のクレープ)の店が多く集まっている。

ハムやベーコン、チーズ、野菜などが入った塩味のガレットの後は、甘い小麦粉のクレープのデザート。このときばかりはワインではなく、同じくブルターニュ名産のシードル(リンゴの発泡酒)で決まりとなる。

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