国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

旅・いろいろ地球人

パリの現代建築

(2)ポンピドゥー・センター  2017年1月19日刊行
園田直子(国立民族学博物館教授)

広場側から見たポンピドゥー・センター=パリ4区で2007年98、筆者撮影

パリ4区、ボブール通りとポンピドゥー広場の間に、芸術・文化・社会のインターフェースを目指す多目的文化施設ポンピドゥー・センター、通称「ボブール」がある。

イタリア人のレンゾ・ピアノと英国人のリチャード・ロジャーズの手による建物は工場のような外観から、1977年開館当初は「製油所」と揶揄(やゆ)されていた。しかし、そのつくりは実に機能的で、色使いは特徴的である。

建物の広場側は移動のための空間で、エスカレータの赤いラインが壁面を斜めにはしっている。建物の反対側には配管等の設備が集中し、それぞれ青色(空調)、黄色(電気)、緑色(水)に色分けされている。その結果、建物内には柱のない7000平方メートルの空間がひろがり、図書館や現代美術館は自由な間取りがとれる。

センターには、今も年間350万~380万人が訪れるが、人びとのお目当ては建物の外にもある。

ポンピドゥー広場は大道芸人のたまり場で、ストリートミュージシャン、似顔絵描き、火吹き男、などなど。ゆるやかな傾斜がついた広場は、世界中の観光客でにぎわう。人の輪の大きさが人気のバロメーター。うまい人、へたな人が一目瞭然の真剣勝負の場でもある。

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