国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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世界のビーズ

(1)人類の最高傑作 『毎日新聞(夕刊)』掲載 2017年4月6日刊行

池谷和信(国立民族学博物館准教授)


古代エジプト、ミイラのビーズマスク<br/>=特別展「ビーズ」より

国立民族学博物館では、開館40周年を記念して特別展「ビーズ」を開催している。ビーズといえば、ガラスビーズをイメージする人が多いと思うが、今回の展示では、真珠の首飾りや木製の数珠など「ものとものをつないでいるもの」としている。私は、20年前からビーズに関心をもってきたが、それにはわけがある。

まず、どうして人はものとものとをつなぐことを始めたのであろうか。人類は、20万年前に石器をつなげて道具をつくった。言葉をつなげて言語をつくった。そして、最後につなげたものがビーズであったのだ。それは、10万年前の出来事、貝殻であったとされる。

もう一つは、このビーズは、世界中に広がったということだ。展示場にはビーズで世界一周というコーナーがあり、10分もあれば世界の諸地域のビーズを見ることができる。オセアニアではクジラやイルカの歯、アマゾンでは赤色の木の実、アフリカでは鉄などを使う。それぞれ形は似ているが、地域の個性が強い。

ビーズは、直径がわずか数ミリの玉をつなげたものが多い。しかし、その組み合わせ方は、ガラスのように自然色ではない色を玉に加えることや首飾りのような線状のものからバッグのように面にすることで無限に広がっていく。私は、ビーズが人類のつくりだした最高傑作のひとつであると思っている。

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