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旅・いろいろ地球人

アイヌの木彫り

(4)アートモニュメント 『毎日新聞(夕刊)』掲載 2017年7月27日刊行

齋藤玲子(国立民族学博物館准教授)


北海道のおもてなしキャンペーンの一環で、JR札幌駅に設置されたモニュメント=筆者撮影

今から20年ほど前にカナダに行ったとき、トーテムポールをはじめとする先住民のアートが街中のあちこちで見られることに驚いた。まず、バンクーバー空港の国際線の出口では、大型の木彫作品に迎えられる。通路や待合室といった他の場所にも著名なアーティストの木彫や版画などの作品が展示されている。1993年に先住民アートを支援する財団が設立され、その活動の一つとして展示がおこなわれているのだ。

かたや日本でアイヌの作品が公共の場に展示されるようになったのは、最近だ。2008年に国会で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が採択されて以降、増えてきた。

11年に開通した地下鉄さっぽろ駅と大通駅をつなぐ地下歩道には、美しい刺繍を施したタペストリーが多数展示されている。新千歳空港の国際線ターミナルビルには、12年にアイヌ文化展示コーナーが設置された。そして、14年には、JR札幌駅西コンコースにアイヌアートモニュメントとして、木彫作品が設置された。メインの「弓の舞」をする古老男性の彫像を阿寒の木彫家・藤戸竹喜氏が制作し、その周りを6人の作家が彫ったイクパスイという儀礼具が囲む。旅行客を迎えるとともに、待ち合わせ場所の目印としても、市民に親しまれているようだ。

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