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鵜飼文化のこれから

(4)鵜飼サミット 『毎日新聞(夕刊)』掲載 2017年9月28日刊行

卯田宗平(国立民族学博物館准教授)


愛媛県大洲市の鵜小屋で飼育されているウミウ=2017年6月、著者撮影

今年6月5日、わたしは愛媛県大洲市にいた。全国鵜飼サミットに参加するためである。

サミットと聞くと主要国首脳会議が思い浮かぶ。全国鵜飼サミットは、日本国内11か所の鵜飼開催地から鵜匠や船頭、自治体の職員らが一堂に会し、それぞれの地域で直面している課題について意見を交換し、解決策を探ることを目的としている。

今年で22回目になる鵜飼サミットには全国から100人以上の参加があった。今回の論点は「ウミウの飼育と管理方法」である。現在、各地の鵜匠たちは個々の経験に基づきながら独自の方法でウミウを飼育している。そのため、病気になったウミウの治療方法や鳥インフルエンザへの対応、餌の種類や1回あたりの餌の量、年間の餌代などは地域によって大きく異なる。

こうしたなか、鵜匠たちは自らの飼育方法を報告しあい、問題点や課題を共有することで、より良い飼育環境を築こうとしている。

鵜飼はウミウがいなければ成り立たない。そのウミウをいかに健康な状態で長生きさせるのか。これは鵜飼関係者にとって根源的な問いだ。各地の鵜匠たちは、鵜飼という日本の伝統文化を守るため、自身の経験を語り、解決策を模索していた。「サミット」の名にふさわしい会議であった。

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