国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

旅・いろいろ地球人

バザールの風景

(3)青空市場  2018年6月23日刊行

寺村裕史(国立民族学博物館准教授)


トラックの荷台からスイカを降ろし、地面に並べて店開き=2015年9月、ウズベキスタン・サマルカンド近郊で筆者撮影

ウズベキスタンにおけるバザールの形態として、常設の店舗とは別に、露天商が集まる定期市も各所で開かれる。日本では、さしずめ青空市場ともいうべきもので、車やトラックに大量の商品を積んで、たくさんの売り手と買い手が集まってくる。

商品の内容はさまざまで、ある店では、大きなものでは金物の「たらい」から、バケツ、洗面器、手桶、はたまた調理用の鍋に陶器の皿や椀、アイロン台まで売られている。良く言えば品揃えが豊富、悪く言えば節操がなく雑多な品揃え、である。

これらを一体どのように車に積んできたのか、店開き前の状態を見てみたい気もするが、こうした露店が広場のあちこちで開かれ、とてもにぎわっていて、商人の商魂たくましい一面を垣間見た気がした。

そこから少し離れた別の場所では、大量のスイカやメロンが積まれた大型トラックが数台止められ、荷台のすぐ前の地面にそれらを並べて即席の青果店が開かれていた。店舗に搬入するという手間が省ける点においては、露店のメリットといえるだろうか。

トラック1台分の大量のスイカが、どれくらいの日数で売り切れるのか、あるいは、定期市が終わっても売れ残ってしまうのか、機会があれば調査してみたい。

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