国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

旅・いろいろ地球人

多文化の中の子育て

(1)名前のつけかた  2019年2月2日刊行

松尾瑞穂(国立民族学博物館准教授)


インドでは、名付け儀礼で初めて子どもの名前が披露される=プネーで2016年、筆者撮影

人類学者として、つねづね複数の文化を生きるということに関心を持っていた。国際結婚や移民の増加でそうした状況(ここではミックスドカルチャーと呼ぼう)を生きる人は、ますます増えている。かくいうわたしも国際結婚をし、自分自身がミックスドカルチャーな環境で子どもを育てるという経験の真っただ中にある。ミックスドカルチャーの子育てにまつわるエピソードを通して、多文化家族について考えてみたい。

子どもが生まれるとなった時、名前はどうするか、という悩みに直面する家族は多い。日本に暮らしていると仮定すると、選択肢はおよそ9通りある。まず、姓名ともに日本名(例:民博太郎)、あるいは外国名(例:レノンジョン)のみ。次に、日本姓に外国名(民博ジョン)、あるいは外国姓に日本名(レノン太郎)。ミドルネームにどちらかの名前をつける(民博太郎ジョン/レノンジョン太郎)。両親の姓をつなげた複合姓と、日本または外国名の組み合わせ(レノン民博太郎/レノン民博ジョン)。最後に、すべての要素を合体させた総合名(レノン民博太郎ジョン)。最後の総合名は両親の文化を等しく背負って良さそうだが、長大になる可能性もある。我が家の場合は、マークシート試験の名前欄はどうなるんだろうという心配が去来し、選択するには至らなかった。

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