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北京大学主催「費孝通と中国社会学・人類学」学術シンポジウム 出席
横山廣子
2005年10月30日~2005年11月05日 (中国)
費孝通教授与中国社会学人類学学術研討会(費孝通教授と中国社会学・人類学学術シンポジウム)出席(2005.10.30-11.5中国)
北京大学の社会学人類学研究所、社会学系、中国社会と発展研究センターの三者が主催した国際シンポジウム(11月1-3日)に出席し、『生育制度』を中心とする費孝通の家族にかかわる研究業績を検討し、それが現時点の人類学的研究において持つ意味と今後の研究課題について研究報告をした。
本シンポジウムは、2005年4月24日に逝去した世界的に著名な中国の社会人類学者、費孝通の研究と思想、学科構築と社会に向けた諸活動を振り返り、中国の社会学と人類学の現在の課題を確認するものである。人類学、社会学の二つの領域にまたがる参加者は合計約70名。そのうち60名余りが基調報告あるいは分科会での研究報告をおこなった。中国大陸以外は、台湾から3名、イギリスから1名、アメリカから1名、日本から2名が参加した。大陸からの参加者のうち香港からは3名、その他、北京以外に天津、武漢、南京、上海、蘭州、蘇州、廈門、広州の各重点大学・研究機関からの参加があった。社会学、人類学を専攻する北京大学の学部、大学院の学生も多数、熱心に聞きに来ていた。
私は、費孝通が著作『生育制度』において展開した研究を中心に、次の諸点を論じた。
1)費孝通の研究活動を時期区分すると、『生育制度』は最初の研究発展・円熟期である第三段階の重要な業績であり、研究者としての費孝通の特徴が多く見られる。
2)諸特徴の中で第1に注目すべきは、「生育制度」のような新しい学術用語・概念を生み出す独創性であり、第2に現地調査・考察に依拠した研究である。後者は、当時の条件下ゆえ中国社会の比較対象として「欧米社会」を用いたための分析上の限界にもつながる。
3)個人の生命の有限性と社会構造の完結性との間の矛盾の解決という視点に基づく「生育制度」の概念の導入によって、婚姻、家族、親族、養育などに関わる広範な研究領域を費孝通が一系列の問題として提示したことは、60年後の今日の社会状況に照らして卓見である。人類学においては、子どもの養育から老人の介護までを視野におさめた、個人、家族、社会を相互に関連させた研究が今後、必要である。
4)費孝通の業績を受け継ぐ意味で望まれるのは、文化的に類似性のある東アジア諸社会間の、60年前にはなしえなかった比較研究である。たとえば中国、韓国、日本は、現在、伝統的家族・親族システムの変化、老齢化、少子化などの共通の問題を抱えている。しかし、社会・経済状況が異なり、問題の認識のあり方や解決への方向性には相違が見られる。
(写真上:分科会の情景)(写真下:シンポジウム参加者の集合写真)







