国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

「第6回イラン研究国際大会」への出席

山中由里子

2006年8月1日~2006年8月8日 (イギリス)

明治日本から初めてイランに派遣された吉田正春の使節団について、「外部からのまなざし」というセッションで発表を行った。吉田正春は明治13年から14年にかけて、明治政府からイランに派遣された外交官であり、軍人一人と商人数名の使節団を率いて、イランにおいて商状調査を行い、当時のイラン皇帝ナーセッロッディーン・シャーに謁見する機会も得た。結局、帰国後に交易も国交も開始されず、旅行は「骨折り損」に終わったかのようにみえた。しかし吉田は後に旅行記を記す。発表ではそれを『米欧回覧実記』と比較し、先進国ではなく、当時の日本と同じく近代化の過渡期にあったイランを訪れたからこそ得ることができた吉田のユニークな視点を紹介し、彼の自由民権運動家としての後の活動とイラン体験の関係について考察した。
 

近代イランのヨーロッパ・北米以外の諸国との交流についての研究はあまり進んでおらず、また欧米、イランの研究者は日本語の資料にアクセスしにくく、時代的背景についても馴染みが薄い。これらの点において、当研究発表の意義は参加者たちに高く評価されたといえる。当時のイランの日本観などについて有意義なコメントを受けた。
 

ヨーロッパのみならず、イラン、北アメリカの研究者も多く参加しており、学会の動向を探ることができた。報告者の本業であるアレクサンドロス物語の研究者も参加しており、意見交換をし、今後の協力について話し合った。

(画像 "The Sixth Biennial of Iranian Studies" プログラム表紙)