国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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2014年6月28日(土)
公開フォーラム ユネスコ無形文化遺産登録記念「和食は誰のものか?」

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趣旨

昨年ユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」。日本料理のよさが見なおされ、そのよさを保ちつつ発展していくことが期待されます。しかし、和食の「よさ」とは何でしょう?  登録された食文化は、家庭料理も含むようです。われわれは、和食のよさを受け継ぐ活動の一翼を担うことになります。ここでいう「われわれ」とは誰なのでしょう? 文化を受け継ぐために、どのようなことが求められるのでしょう?

これらの問いに答えるには、和食の特徴だけでなく、無形文化遺産についても理解する必要があります。じつは、無形文化遺産は、世界遺産がカバーしきれない文化の継承をめざした画期的な制度です。しかしそのぶん、独特の考えかたになじまなければわかりにくいのも事実です。

このシンポジウムでは、和食とはなにか、無形文化遺産とはなにかという基本的な点をふまえたうえで、われわれがどのように行動していけばよいかを話しあいたいと思います。

プログラム

13:00~ 主催者挨拶
13:15~ 第I部 基調講演「ユネスコの無形文化遺産に登録された和食」熊倉功夫
13:55~ 第II部 個別報告(各15分)
「和食と料亭」松尾英明
「和食と現代家族」岩村暢子
「和食と地域産業」村上喜郁
「遺産としての和食」岩崎まさみ
14:55~ 休憩
15:05~ 第III部 パネルディスカッション「和食を受け継ぐうえでの課題」
進行役:橋本裕之/飯田卓
16:30~ 閉会

演者紹介

熊倉功夫(くまくらいさお)

静岡文化芸術大学学長、国立民族学博物館名誉教授、「和食」文化の保護・継承 国民会議 会長。専門は日本文化史。著書に『日本文化の歴史』(吉川弘文館、2007年)、『茶の湯日和 うんちくに遊ぶ』(里文出版、2012年)など。

松尾英明(まつおひであき)

大阪府吹田市千里山「柏屋」店主。滋賀県東近江市「招福楼」で日本料理を学ぶ。2011年より4年連続で『ミシュランガイド』の三つ星を獲得。農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」受賞(2013年)。

岩村暢子(いわむらのぶこ)

株式会社キユーピー顧問 兼 200Xファミリーデザイン室長。専門は食と現代家族論。著書に『家族の勝手でしょ! 写真274枚で見る食卓の喜劇』(新潮文庫、2012年)、『日本人には二種類いる』(新潮新書、2013年)など。

村上喜郁(むらかみよしふみ)

追手門学院大学准教授。専門は経営学。論文に「ご当地グルメの競争優位構築に関する予備的考察」(『大阪観光大学 紀要』10号、2011年)など。

岩崎まさみ(いわさきまさみ)

北海学園大学教授。専門は文化人類学。著書に『人間と環境と文化』(清水弘文堂書房、2005年)、論文に「無形文化遺産保護条約の概要とその意義」(『年報新人文学』9号、2012年)など。

橋本裕之(はしもとひろゆき)

追手門学院大学教授、機関研究「文化復興と芸術創造に関する総合的研究」代表者。専門は民俗学・演劇学。著書に『民俗芸能研究という神話』(森話社、2006年)、『舞台の上の文化』(追手門学院大学出版会、2014年)など。

飯田卓(いいだたく)

国立民族学博物館准教授、機関研究「文化遺産の人類学――グローバル・システムにおけるコミュニティとマテリアリティ」代表者。専門は生態人類学。著書に『海を生きる技術と知識の民族誌』(世界思想社、2008年)など。