国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

研究会・シンポジウム・学会などのお知らせ

2006年4月14日(金)
研究フォーラム「『ものもらい』の倫理―ホームレスの時代に」

  • 日時:2006年4月14日(金) 15:00~17:30
  • 場所:国立民族学博物館 第5セミナー室
  • 主催:国立民族学博物館
 

趣旨

「ものもらい」とは目蓋にできる麦粒腫のことをいうが、かつての日本では、それは隣近所から食べ物をもらって食べるとなおるという俗信がひろくおこなわれていた。そのような物乞いの習俗がすたれると、社会に居場所をもたないホームレスが路上にあらわれるようになった。ホームレスから国際協力まで、もらう論理の喪失によってわたしたちはなにを失ったのか、民族誌的事例を参考にしながら考えてみたい。

プログラム

15:00~15:10 司会挨拶 杉本良男(国立民族学博物館 教授)
15:10~16:30 講演 「『ものもらい』の倫理 ─ ホームレスの時代に」野村雅一(国立民族学博物館 名誉教授)
16:30~16:50 コメント 関根康正(日本女子大学 教授)
16:50~17:30 質疑討論

成果報告

野村雅一教授の講演は、本館の共同研究会「ストリートの人類学」(代表者:関根康正)に関連する内容であった。講演内容は、近代化にともない物乞いの習俗がすたれたため、ホームレスが都市の路上に現れるようになったという都市化現象の負の側面を、「もらう論理の喪失」という言葉をキー・ワードにして、様々な民族誌的事例を参照しつつ論じるものであった。日本女子大学の関根康正教授は、「野村人類学」とでも呼べる独特な野村教授の学問世界を紹介しつつ、講演内容についてのコメントを行なった。また、本館民族社会研究部所属の樫永真佐夫助手によるベトナムの事例なども紹介され、講演内容に厚みが加わった。

会場の様子 野村雅一名誉教授
関根康正教授 樫永真佐夫助手