国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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2011年3月14日(月) ~3月15日(火)
国際シンポジウム 「東南アジアにおけるゴングの映像民族誌」
人間文化研究機構連携研究「人間文化資源」の総合的研究 「映像による芸能の民族誌の人間文化資源的活用」班

  • 日 時:2011年3月14日(月)~3月15日(火)
  • 場 所:国立民族学博物館 第4セミナー室
  • 定 員:30名
  • 使用言語:日本語及び英語(同時通訳有り)
  • 参加方法:要申込・無料

[お問い合わせ先]
国立民族学博物館 福岡研究室
E-mail:fukuoka●idc.minpaku.ac.jp (●を@でおきかえてください)

この国際シンポジウムは、人間文化研究機構連携研究「人間文化資源」の総合的研究における研究プロジェクト「映像による芸能の民族誌の人間文化資源的活用」の一環として開催するものです。

 

趣旨

このシンポジウムは、人間文化研究機構連携研究「人間文化資源」の総合的研究における研究プロジェクト「映像による芸能の民族誌の人間文化資源的活用」の一環として開催するものである。このプロジェクトは、芸能を記録し分析する手段としての映像ばかりでなく、芸能にかかわる様々な人々を結びつけるメディアとしての映像民族誌に焦点をあてている。私たちは、映像制作者により完成され固定された作品として映像を扱うのではなく、生き生きとした対話の場として、常に批評や批判に開かれ、必要に応じて変更を加えながら、異なる声を反映させていくべきものとして映像民族誌を位置づけている。そうした映像民族誌は、芸能について理解を深め、新たに何かを発見する場ともなるであろう。

このシンポジウムにおいては、東南アジアのゴングとその音楽を例として、そうした映像民族誌作成の可能性について議論する。ゴングは東南アジアの音楽文化を特徴付ける楽器の1つであるが、その重要性は音楽のみに限られない。東南アジアの人々は、しばしば、ゴングに超自然的な力を認め、代々伝えられる家宝として大切にしている。また、ゴングは経済的な価値をもつ商品でもある。国立民族学博物館は、ゴングとゴング音楽の諸相について、カンボジア、フィリピン、マレーシア、インドネシアなどにおいて、調査と収集を行ってきた。昨年新構築された音楽展示では、東南アジアのゴングを1つのテーマとして選び、様々な地域の多彩なゴング・アンサンブルを展示している。さらに、私たちは、それぞれのゴング文化についての映像記録も作成してきた。

このような経験に基づき、このシンポジウムでは、東南アジア音楽の専門家を招き、東南アジアのゴング文化について論じる。それぞれの地域のゴングとゴング音楽を比較および相互交流の視点から位置づけ、映像により東南アジアのゴング文化のダイナミズムをとらえる新しい研究モデルの構築を目指したい。

プログラム

3月14日(月)
13:00~13:30 開会あいさつ 須藤健一(国立民族学博物館館長)
趣旨説明 福岡正太(国立民族学博物館)
13:30~15:30 「映像に見る東南アジアのゴング―国立民族学博物館の新音楽展示から」
 福岡正太(国立民族学博物館)
「10世紀から17世紀の海域アジアにおけるゴングと音楽の交流」
 アルセニオ・ニコラス(マハーサラカム大学)
16:00~18:00 「東南アジアのゴング―ベトナム中部高原における民族誌的フィールド体験」
 フォン・グエン(大学教育研究所)
映像作品上映「ベトナム中部高原のゴング文化」(2008年、16分)
 柳沢英輔(青山学院大学)
3月15日(火)
10:00~12:00 「バリにおけるゴング職人―製作と流通」
 イ・マデ・カルタワン(インドネシア芸術大学デンパサール校)
「ゴング音楽とフィリピン系アメリカ人のアイデンティティ」
 寺田吉孝(国立民族学博物館)
13:00~15:00 「ゴング、民族音楽学、映像音響メディア―インドネシア芸術教育研究所による教育プログラムのコンセプトと経験」
 エンド・スアンダ(インドネシア芸術教育研究所)
「東南アジアにおけるゴングに関する映像民族誌の可能性」(2008年、16分)
 梅田英春(沖縄県立芸術大学)
15:30~17:00 総合討論