国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。
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研究会・シンポジウム・学会などのお知らせ

2012年11月30日(金)
国際研究フォーラム「日仏研究交流フォーラム―人口学から世界を理解する」

  • 日時:2012年11月30日(金) 13:30~18:00
  • 会場:国立民族学博物館 第1セミナー室
  • 主催:国立民族学博物館
  • 共催:フランス国立パリ・デカルト大学・人口開発研究所
  • 使用言語:日本語・フランス語・英語
 

趣旨

国立民族学博物館とフランス国立パリ・デカルト大学・人口開発研究所(CEPED)とのあいだに締結される学術協定(2012-2015年)の第1回目の研究交流として、本フォーラムを開催する。  
今回はCEPED所長のイヴ・シャルビ氏の基調講演をふまえ、国内のアフリカ研究者が異なる学問領域から参加し、社会の変化に対応する今日的な研究のあり方を模索する。シャルビ氏は人口学という一見、無機質な学問領域に、複雑な社会変化にも対応するようなアプローチをもたらす学際的な研究の方向性について講演する。それに対し、文化人類学、歴史学、経済学などの分野からの事例報告をおこない、変化の激しいアフリカ社会に対峙するための方法論を検討する。  
このような学際的かつ国際的な研究の場をフランスと日本の研究者が共有することによって、あらたなアフリカ研究の方向を見出すことができると期待される。なお、本フォーラムは日仏学術協定における来年度のシンポジウムに向けてのプレシンポに位置づけられ、人的交流とテーマの絞り込みを目的とする。  
また、本フォーラムで目指す異文化に対峙する研究姿勢は、異なる学問領域の複合的なアプローチを用いるという点において、民博における異文化研究の広がりに寄与すると期待している。

プログラム

13:30~13:40 館長挨拶 須藤健一(国立民族学博物館長)
13:40~13:55 趣旨説明と講演者紹介 三島禎子(国立民族学博物館)
13:55~14:40 基調講演
「変化と適応の理論―総合的人口学のために」
シャルビ・イヴ(パリ・デカルト大学人口開発研究所)
14:40~15:00 休憩
15:00~15:35 コメント
「社会の視方-ミクロからマクロへ、マクロからミクロへ」
正木響(金沢大学)
15:35~15:50 討論
15:50~16:00 休憩
16:00~16:35 コメント
「よりよき他者理解のために-フィールドワークでのふたつの個人的体験から」
鈴木裕之(国士舘大学)
16:35~16:50 討論
16:50~17:00 休憩
17:00~17:45 全体討論
17:45~18:00 閉会の辞
三島禎子

研究成果の概要

文化人類学において個人や家族が古典的テーマであると同時に、人口学もまたそれらを研究の単位としてきた。前者の特徴は、人間の慣習や社会制度、心理的傾向性、言語、物質文化など、多様な要素からなる広義の文化に焦点をあて、個々の文化的特性を記述すると同時に、民族/社会間の比較研究を行うことである。他方、人口学は出生,死亡,結婚,移動といった変数要因に注目して、人口動態に関する法則性やメカニズムを対象に研究する。両者の関係については、文化人類学が質的データを重視するのに対し、人口学は数量的データに基づいて分析を行うのであるが、今日の複雑な社会を対象とするようになって、人口学においても文化人類学的なデータ収集と分析の必要性が認識されている。すなわち、フィールドワークにおいて取得される直接的なデータを用いることによって、より個別な状況を理解する必要性が人口学において生じている。一方、文化人類学においても、グローバル化社会における個別性を理解するための新しいアプローチが求められ、学問領域も応用人類学に代表されるように、現代社会なさまざまな社会問題に対応して多様化している。同様の指摘は、同じようにマクロなアプローチを手法とする経済学においても見られた。
本研究フォーラムでは、シャルビ氏が人口学の立場から学際的な研究の方向性について講演をおこない、経済学と文化人類学からの事例報告とコメントを議論の柱としながら、変化の激しいアフリカ社会に対峙する学際的な方法論について、異なる分野の研究者がそれぞれの立場から模索した。
同時に、学術協定のものでおこなう研究プロジェクトについて話しあい、来年度のシンポジウムの方向性と内容についてお互いの理解を深めた。