国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

研究会・シンポジウム・学会などのお知らせ

2018年11月3日(土・祝)
シンポジウム「バスケタリーと人類」

チラシダウンロード[PDF:2.9MB]

 

開催趣旨

バスケタリーとは、線状の素材を編んだり組んだりしてものをつくる技術や、その技術によってつくられたものを指します。人類は、食糧獲得や運搬などを目的として、身近にある生態資源をどのように採取、加工してきたのでしょうか。そして、人類がバスケタリーを生み出すことによって、生活や行動はどのように変化したのでしょうか。
大阪日本民芸館における『民藝のバスケタリー――籠・笊・蓑――』展に合わせて、パレオ文化史学では、シンポジウムを開催します。展示場で出会うバスケタリーの美しさは、人類史における人間の叡智がうみだしたものです。先史時代から現代にいたる、世界各地の多様なバスケタリーに造詣の深い三人の話者に、バスケタリーからみえる人類の文化について、存分に語っていただきます。

 

プログラム

13:30 開会挨拶
野林厚志(国立民族学博物館教授)
13:35 趣旨説明
金谷美和(国立民族学博物館外来研究員)
13:50 発表1「組織構造と使われる植物の種類と加工の関連」
関島寿子(かご制作者、多摩美術大学客員教授)
14:15 発表2「縄文時代のかごとその技術」
本間一恵(バスケタリーニュース編集人)
14:40 発表3「線状物を生みだす人類の知恵」
上羽陽子(国立民族学博物館准教授)
14:55 コメント
中谷文美(岡山大学教授)
15:10 総合討論
16:20 閉会
 

プロフィール

関島寿子
(かご制作者、多摩美術大学生産デザイン学科テキスタイル客員教授)
長年バスケタリーの実例を観察し、その造形的可能性を再発見し、植物素材を用いて、現代的な視点で立体を制作してきた。作品を個展や繊維造形の展覧会で発表するとともに、制作の実際をふまえた造形論や構造論を展開している。著書『バスケタリーの定式』(住まいの図書館出版局)、『Basketry』(英文)(Kodansha International)。

[img]

個展 2018年 京都ギャラリー日日
(提供:関島寿子)

本間一恵
(バスケタリーニュース編集人)
編み組みの構造に興味を持ち、バスケタリー作品の制作をしながら、かごのコレクションや関連記事の執筆をしてきた。低湿地遺跡からの編組品発掘が増加した近年は、先史時代のかごの復元にも携わる。著書『クラフトテープでつくる』 (日本ヴォーグ社)、共著『さらにわかった! 縄文人の植物利用』(新泉社) 。

[img]

佐賀県東名遺跡出土の
かごの復元実験
(撮影:あみもの研究会)

上羽陽子
(国立民族学博物館人類文明誌研究部准教授)
専門は民族芸術学、染織研究。特にインドを対象として、つくり手の視点に立って染織技術や布の役割などについて研究。近年は、インド北東部アッサム地域のタケや野蚕の資源利用の現場で調査を進めている。近著に『インド染織の現場 つくり手たちに学ぶ』(臨川書店)。

[img]

マダガスカル、ザフィマニリの
編み素材の加工
(撮影:2013 年上羽陽子)