国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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2010年11月24日(水) ~11月26日(金)
平成22年度みんぱく若手研究者奨励セミナー 「国境を越える市民社会と人類学」

  • 開催日:2010年11月24日(水)~11月26日(金)
  • 開催場所:国立民族学博物館 第4セミナー室
 

優秀発表者の決定について

国立民族学博物館では、国内の大学院博士課程在籍者およびPD(ポストドクター)等の若手研究者から本研究機関の共同利用に関するさまざまなご意見を伺うため、「国立民族学博物館の共同利用に関する若手研究者懇談会」を開催してきました。

昨年度より、これまでに寄せられましたご意見・ご要望に沿って、「みんぱく若手研究者奨励セミナー」と改め、11月24日~26日の3日間で実施しました。

セミナーでは、「国境を越える市民社会と人類学」をテーマに、本館教員による講演に続いて、受講者による研究発表を行ない、図書室・本館展示・特別展・収蔵庫の見学など、本館の施設案内も合わせて実施したところです。また、セミナーには表彰制度を設けており、受講者の中から優秀発表者を選び「みんぱく若手セミナー賞」を下記のとおり2名に授与しました。

【優秀発表者】
 高橋絵里香(国立民族学博物館 外来研究員(日本学術振興会 特別研究員(PD))
【発表タイトル】
 「『在宅』の思想―フィンランド西南部の地域福祉にみる『社会』の重層性について―」
 発表要旨[PDF:123KB]

【優秀発表者】
 西垣有(大阪大学大学院人間科学研究科 博士後期課程)
【発表タイトル】
 「コミュニティと公共性―モンゴルにおける市民参加型NGOの活動から―」
 発表要旨[PDF:101KB]

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最前列右から二人目が西垣氏、三人目が高橋氏。

開催趣旨

人やモノの関係が流動化した今日の世界において、『国境を越える市民社会』と呼びうる非公式の組織による国際的なネットワークが構築されつつある。その主要なアクターは、マイノリティの権利主張をめぐる組織や運動体、人権問題や人間の安全保障などにかかわるNGOやNPO、地域紛争の当事者、宗教ネットワークなどである。これらの諸アクターは、21世紀の人類学において看過できない事象を世界各地のさまざまなフィールドで構築している。今回のセミナーでは、そうした国際的なネットワークによる運動や実践、あるいはそれらをめぐる地域社会の葛藤や紛争に焦点をあてた研究を募集し、新たな市民社会が構築されるなかで人類学が可能なアプローチについて検討する。

開催プログラム

11月24日(水)
10:30~10:40 館長挨拶 須藤健一(国立民族学博物館・館長)
10:40~10:50 趣旨説明 信田敏宏(国立民族学博物館・准教授)
10:50~11:50 みんぱく教員講演(1)
宇田川妙子(国立民族学博物館・准教授)
「イタリアの『第三セクター』現象-『市民社会』の人類学的考察の試み-」
13:00~14:00 みんぱく教員講演(2)
信田敏宏(国立民族学博物館・准教授)
「先住民運動のエスノグラフィ-オラン・アスリのフィールドワークから-」
セッション(1) 司会:内藤 直樹(国立民族学博物館・機関研究員)
14:10~15:40 神原ゆうこ(東京大学・博士後期課程)
「ローカルな政治の場所における市民社会のずれと再想像-スロヴァキア西部国境地域を事例として-」
発表要旨[PDF:157KB]
高橋絵里香(日本学術振興会・特別研究員(PD))
「『住宅』の思想-フィンランド西南部の地域福祉にみる『社会』の重層性について-」
発表要旨[PDF:123KB]
セッション(2) 司会:小川さやか(国立民族学博物館・機関研究員)
15:50~18:05 王柳蘭(日本学術振興会・特別研究員(RPD))
「クロスボーダーにおける共生の模索-北タイにおける雲南系ムスリムのネットワークの構築から-」
発表要旨[PDF:126KB]
足立綾(東京大学・博士後期課程)
「現代フランス社会における<ピエ・ノワール>」
発表要旨[PDF:122KB]
岩崎明子(東京大学・研究生)
「ドイツ領東アフリカにおけるマジマジの乱と人類学-ドイツ植民地支配からイギリス植民地支配へ-」
発表要旨[PDF:264KB]
18:10~18:30 総合討論
18:30~ 懇談会
 
11月25日(木)
9:00~11:30 みんぱく施設見学 野林 厚志(国立民族学博物館・准教授)
図書室・収蔵庫等の利用案内
カムイノミ見学
セッション(3) 司会:岩佐光広(国立民族学博物館・機関研究員)
12:30~14:00 箕曲在弘(早稲田大学・博士課程)
「ラオス南部におけるフェアトレード生産協同組合の社会関係に関する一考察」
発表要旨[PDF:126KB]
岩間春芽(京都大学・博士課程)
「ネパール北西部農村における仕事と貧困-貧困言説の広まりによる変化-」
発表要旨[PDF:109KB]
セッション(4) 司会:藤本透子(国立民族学博物館・機関研究員)
14:10~15:40 根本達(筑波大学・準研究員)
「排他的共同対に対面関係の網の目を紡ぎ合わせる-『不可触民』解放運動とともに生きる現代インド仏教徒たちの技法-」
発表要旨[PDF:106KB]
平野邦輔(東京大学・博士課程)
「グローバルな市民社会における『自分探し』-日本人男性同性愛者の北米への移動を例として-」
発表要旨[PDF:117KB]
セッション(5) 司会:内藤直樹(国立民族学博物館・機関研究員)
15:50~18:05 玉山ともよ(総合研究大学院大学・博士課程)
「先住民族『聖地』開発をめぐる攻防-米国ニューメキシコ州テーラー山におけるウラン鉱山開発の事例考察-」
発表要旨[PDF:169KB]
松岡格(早稲田大学・次席研究員)
「地方化・単純化と台湾原住民社会」
発表要旨[PDF:126KB]
友永雄吾(日本学術振興会・特別研究員(PD))
「オーストラリア南東部の先住民ヨルタ・ヨルタの環境管理のための先住民運動」
発表要旨[PDF:103KB]
18:10~18:40 総合討論
11月26日(金)
9:00~10:30 みんぱく施設利用
セッション(6) 司会:小川さやか(国立民族学博物館・機関研究員)
10:30~12:00 田中理恵子(東京大学・博士課程)
「国境を越える音楽が生み出す差異は何を示すのか?-米国オアフ島における韓国系コミュニティを中心として形成される演奏共同体-」
発表要旨[PDF:123KB]
青木深(一橋大学・特任講師)
「『進駐軍ソング』をときほぐす-歌とエキゾチシズムをめぐる歴史人類学-」
発表要旨[PDF:167KB]
セッション(7) 司会:岩佐光広(国立民族学博物館・機関研究員)
13:00~14:30 渡辺紀子(東京外国語大学・フェロー)
「見えない他者と出会う・交わる-グローカル化する都市における祝祭の考案-」
発表要旨[PDF:149KB]
西垣有(大阪大学・博士後期課程)
「コミュニティと公共性-モンゴルにおける市民参加型NGOの活動から-」
発表要旨[PDF:101KB]
14:40~15:10 総合討論
15:10~16:30 アンケート記入およびみんぱく施設利用
16:30~17:00 講評・表彰・閉会挨拶
森明子(国立民族学博物館・研究戦略センター長)