国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。
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アジアにおける環境保全と生態史の人類学的研究

共同研究 代表者 池谷和信

研究プロジェクト一覧

研究成果刊行物
『熱帯アジアの森の民-資源利用の環境人類学』 人文書院 2005年6月30日
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2002年度

アジアにおける環境保全の諸問題を地域の生態史(Ecological History)に注目して討議する。生態史の適用範囲として、先史時代から現代までを視野に入れることにより、地域の環境問題に歴史的なメスを入れる。とくに土着の資源管理と環境開発の相互作用についての事例研究にもとづいて問題を整理する。山林、焼畑、水田、湿地、沿岸など、異なった環境ごとの利用システムを生態人類学、地理学、歴史学、先史学の知見をもとに共同研究をおこない、アジアに固有の環境保全のあり方の有効性と限界を指摘し、成果刊行の準備期間とする。

【館内研究員】 阿部健一、飯田卓、南真木人、ピーター J. マシウス
【館外研究員】 相生啓子、秋道智彌、鰺坂哲朗、稲岡司、梅崎昌裕、加藤真、口蔵幸雄、小林達雄、後藤明、佐伯弘次、篠原秀一、須田一弘、竹内潔、田中耕司、田和正孝、野中健一、福井勝義、古川久雄、堀田満、松井章、三木奈都子、森本孝
研究会
2002年11月2日(土)10:30~(第6セミナー室)
池谷和信「狩猟採集民研究の新しい潮流 ─ 第9回国際狩猟採集民会議に参加して」
松井章「動物考古学の新しい潮流 ─ 第9回国際考古動物学会に参加して ─」
Kannmani K.「Hunter-gatherers vs. Protected Area Management in India」
信田敏広「森を再利用する人びと ─ オランアスリのドリアン収穫をめぐって ─」
永田脩一「オランアスリ狩猟採集民のいわゆる『交易』」
2002年12月14日(土)10:00~(大演習室)
南真木人「モンスーンアジアの焼畑研究の動向」
佐藤廉也「コメント」
岡恵介「日本の焼畑について ─ 北上山地からの展望」
鎌田麿人「焼畑における資源利用について」
佐々木高明「モンスーンアジアの焼畑と狩猟と山の神 ─ 森の自然の保全」
2003年2月8日(土)13:30~(大演習室)
「テーマ:熱帯アジアの狩猟採集焼畑文化の変化」
小川英文「フィリピンのアグタの20年」
口蔵幸雄「マレーシアのオランアスリの25年:マレーシア、トレンガヌ州、スンガイ・ブルアのスマソ・ブリ集団の生態、社会、経済の変化」
研究成果

この研究会では、アジアにおける環境保全の諸問題を地域の生態史に注目して討議することを目的として、延べ3年間で計12回の会が行われた。各回は、「藻類をめぐる地域の環境と世界」「アワビをめぐる生態と近世」「熱帯アジアの狩猟採集焼畑文化の変化」などのように、海洋資源、森林資源という異なる生態系ごとにサブテーマが設けられて進められた。当初の頃の研究内容では、沿岸の事例に集中したものであったが、後半では山林、焼畑などの異なった環境利用に対象は拡大している。以下のように研究成果を整理することができる。

1)方法論や人類学理論に関与する論議
文化人類学と考古学との交差から、生態史、資源利用、交易などの概念が検討された。生態史では、2つの分野が協力して農耕社会出現以降の狩猟採集漁労の変化を生態史的に明らかにすることの意義が提示された。その背景には、熱帯アジアにおいても「カラハリ論争」のような狩猟採集民の歴史に関わる論争が生じており、歴史研究を無視できない点が挙げられる。
資源利用と管理では、ナワバリの形成と変容についての新たな理論的検討がなされた。とくに資源の特性や資源の予測可能性を変数にしたモデルが論議された。また、20世紀の資源利用が、熱帯アジアの生態史を把握するうえで無視できないことがわかり、植民地史を含めた政治経済史の枠組みも不可欠になっていった。さらに交易概念の検討では、熱帯アジアの狩猟採集民にとって交易は不可欠の経済活動であったために商業狩猟採集という概念が提示される一方で、これまでの交易を無視した社会理論が再検討された。

2)各生態系の事例研究
水産資源の利用や陸域資源の利用の事例を蓄積することで、新たな知見が得られこれまでの研究の問題点が指摘された。対象地域は、日本を含めた東アジア、東南アジア、南アジアに及んでおり、海苔、アワビ、雑穀などをめぐる生産・流通が対象にされた。
そこでは、資源を利用する地域社会の多様性に注目して、狩猟民と農耕民との関係、漁労民と農耕民との関係を踏まえて、資源利用の生態史を復元する枠組みの重要性が指摘された。とりわけ、特別講師の佐々木高明名誉教授によって、自らの焼畑研究の限界や問題点が語られると同時に、報告者によって東北日本や南アジアにおける新たな焼畑像が提示された。

2001年度

アジアにおける環境保全の諸問題を地域の生態史(Ecological History)に注目して討議。生態史の適用範囲として、先史時代から現代までを視野に入れることにより、地域の環境問題に歴史的なメスをいれる。特に土着の資源管理と環境開発の相互作用についての事例研究にもとづいて問題を整理。山林、焼畑、水田、湿地、沿岸など、異なった環境ごとの利用システムを生態人類学、地理学、歴史学、先史学の知見をもとに共同研究をおこない、アジアに固有の環境保全のあり方の有効性と限界を指摘。

【代表者】 秋道智彌
【館内研究員】 阿部健一、池谷和信、ピーター J. マシウス、南真木人
【館外研究員】 相生啓子、鰺坂哲朗、稲岡司、梅崎昌裕、加藤真、口蔵幸雄、後藤明、小林達雄、佐伯弘次、篠原秀一、須田一弘、竹内潔、田中耕司、田和正孝、野中健一、福井勝義、古川久雄、堀田満、松井章、三木奈都子、森本孝
研究会
2001年6月2日
秋道智彌「熱帯・亜熱帯の低湿地における水産資源利用」
飯田卓「マダガスカル輸出海産物の東南アジアにおける資源状況」
後藤明「フィリピン・ビサヤ地方における水産物と地揚産業のネットワーク ─ 貝細工を中心に」
田和正孝「東南アジアにおける漁業地域研究の視点 ─ 資源管理・境界・流通」
野中健一「ベトナムにおける水産資源研究の現状と課題」
2001年9月11日
全員「生態史と空間認知」
秋道智彌「海洋空間の認知と資源利用」
野中健一、高田明「長距離移動と砂漠空間」
口蔵幸雄「熱帯の森林資源と精霊」
大村敬一「ツンドラと海氷の資源利用と空間認知」
岡本耕平「伝統的な生態知識と空間認識」
村越真「自然環境と空間認知」
2001年9月29日
梅崎昌裕「海南島山間部に居住するリー族の環境利用」
宮浦理恵「インドネシア高地野菜作における農民の雑草認識とその利用 ─ インドネシア小農はなぜ除草剤を使わないのか?」
コメンテーター:三浦励一
2001年12月1日~2日
秋道智彌「生態史からみたニューギニアの生業」
コメンテーター:川崎一平

2000年度

アジアにおける環境保全の諸問題を地域の生態史(Ecological History)に注目して討議する。生態史の適用範囲として、先史時代から現代までを視野に入れることにより、地域の環境問題に歴史的なメスをいれる。とくに土着の資源管理と環境開発の相互作用についての事例研究に基づいて問題を整理する。山林、焼畑、水田、湿地、沿岸など、異なった環境ごとの利用システムを生態人類学、地理学、歴史学、先史学の知見をもとに共同研究を行い、アジアに固有の環境保全のあり方の有効性と限界を指摘する。

【代表者】 秋道智彌
【館内研究員】 阿部健一、池谷和信、ピーター J. マシウス、南真木人
【館外研究員】 相生啓子、鰺坂哲朗、稲岡司、梅崎昌裕、加藤真、口蔵幸雄、後藤明、小林達雄、佐伯弘次、篠原秀一、須田一弘、田中耕司、田和正孝、野中健一、福井勝義、古川久雄、堀田満、松井章、三木奈都子、森本孝
研究会
2000年7月7日
出席者による自己紹介
2000年9月29日
野中健一「ベトナム北部の干潟漁」
2000年10月14日
藻(草)類をめぐる地域の環境と世界
相生啓子「日本におけるアマモ場消滅の歴史と現状 ─ 東北のアマモ場を中心に」
諸喜田茂充「オキナワモズク養殖の現状と展望」
鰺坂哲朗「最近の海苔養殖の問題」
内田朝子「大型糸状藻類(カワシオグサ)と古鼡プロジェクト」
秋道智彌「Lumput Laut 養殖と環境保全 ─ インドネシア・北スラウェシ州ナイン島の事例」
2000年12月9日
山尾政博「タイ国南部における輸出用水産物工場について」
秋道智彌「中国雲南省西双版納における蝶採集とグローバルエコノミー」
2001年3月3日
アワビをめぐる生態と近世 ─ 現代史
李善愛「韓国のアワビ漁について ─ 東南海岸地域を中心に」
三木奈都子「アワビの生産と流通の変化 ─ 長崎県壱岐島の海女の事例を中心に」
香月洋一郎「海士によるアワビ漁の現在 ─ 長崎県五島列島の事例から
佐々木健「前川善兵衛と俵物交易」
田島佳也 コメント「アワビをめぐる日本とアジア」