国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。
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周極地域のエスニシィティとアイデンティティに関する研究

共同研究 代表者 煎本孝(客員)

研究プロジェクト一覧

2002年度

現在の北方ユーラシア、日本、北アメリカを含む周極地域は急激な環境的、政治的、経済的変化に見舞われ、その文化は大きく変化しようとしている。そこで、この地域で進行している民族と文化と言語の動態に関する比較研究を行い、北方民族のエスニシィティとアイデンティティの実態を明らかにし、多様な文化の共存と相互理解という21世紀の課題を民族学的始点から解明することを目的とする。

【館内研究員】 池谷和信、岸上伸啓、小長谷有紀、佐々木史郎、庄司博史
【館外研究員】 井上敏昭、大曲佳世、奥田統己、風間伸次郎、呉人恵、佐々木亨、瀬川昌久、高橋邦秀、津曲敏郎、本間利久、宮岡伯人、山田孝子、吉田睦
研究会
2002年8月31日(土)13:00~(第2演習室)
塚本俊也「モンゴル、中国、タジキスタンにおける国際協力活動にむけて」
新田均「中国における緑地化活動をめぐって」
2002年10月19日(土)13:00~(第2演習室)
手束耕治「国際協力NGOにおける文化の視点 ─ SVAの文化・教育活動の事例を通して」
木山啓子「旧ユーゴスラビアにおける国際難民支援活動について」
野口栄一郎「ロシア沿海地方 ウデヘ人の今」
2002年12月7日(土)13:00~(第2演習室)
漆原比呂志「国際協力活動の現場から」
野口リンジン「難民・少数民族国際協力活動について」
2003年2月19日(水)13:00~ / 20日(木)10:00~ / 21日(金)10:00~ / 22日(土)10:00~(第2演習室)
「共同研究成果編集について」
研究成果

本共同研究は理論的な部分と現実に即したより実践的な部分から構成された。理論的研究の結果、エスニシティとアイデンティティは、自然と人間との関係、人間集団の種類、集団間の関係、集団と文化の変化の過程と関連することが明らかとなった。

また、周極地域における人々のアイデンティティの特徴は、狩猟や牧畜という生計活動を通した自然と人間との関係に重点が置かれていることである。アニミズムとシャマニズムを基本とする世界観の中で、人々は人間と動物との間の初原的同一性を認め、人格化された動物との間に霊的きずなを形成する。神々である動物と人間との間の互酬的関係、および宇宙的循環の観念に支えられ、人々は人間は自然の一部であるという思考を持つ。この思考は人間と人間との関係にも見られ、現実的にも認識の上でも、‘共生’という概念が重要であることが明らかになった。

さらに、エスニシティとアイデンティティは変化するということ、そしてこの両者が連関したエスニック・アイデンティティ(民族的帰属性)は、しばしば集団間の紛争と関連しているという点が明らかにされた。周極地域におけるこの集団間の紛争とは、多くの場合、国家とその内部の少数民族との関係であり、少数民族の文化が融合の過程において危機に瀕しているという状況において起こっている。集団間の紛争においてエスニック・アイデンティティは文化的に、あるいは政治的に、またときには暴力的に表出されるのである。

さらに、実践的研究として、上の分析で明らかになった事実に基づいて‘共生’の観念を用いた紛争解決への提言の可能性を探るため、北方周極地域をはじめとする世界各地における国際協力活動の実態についての共同研究を行った。その結果、共生の観念が実践を通して紛争解決に果たす役割があることが明らかにされた。

2001年度

現在の北方ユーラシア、日本、北アメリカを含む周極地域は急激な環境的、政治的、経済的変化に見舞われ、その文化は大きく変化しようとしている。この地域で進行している民族・文化・言語の動態に関する比較研究をおこない、北方諸民族のエスニシィティとアイデンティティの実態を明らかにし、多様な文化の共存と相互理解という21世紀の課題を民族学的視点から解明することが、本研究の目的である。

【館内研究員】 池谷和信、岸上伸啓、小長谷有紀、佐々木史郎、庄司博史
【館外研究員】 井上敏昭、大曲佳世、奥田統己、風間伸次郎、呉人恵、佐々木亨、瀬川昌久、高橋邦秀、津曲敏郎、本間利久、宮岡伯人、山田孝子、吉田睦
研究会
2001年6月23日
佐々木史郎「民族アイデンティティと階層性と重複性 ─ ヤクーチヤとアムールの事例から」
本間利久「北ユーラシアのネットワーク構築について」
アラタンボリゴ「文様から見たモンゴル人の美意識」
2001年10月20日
池谷和信「チュクチのトナカイ牧畜の衰退とアイデンティティ」
朝克「エヴェンキ族の民族的帰属性」
汪立珍「満洲族の民族的帰属性」
2002年2月9日
加藤博文「物質文化に反映された集団表象 ─ 極東先史社会におけるアイデンティティの形成と変容」
津曲敏郎「デルス・ウザーラの言語をめぐって」
煎本孝「共同研究会の今後の予定について」
2002年3月23日
奥田統己「アイヌ文化の多様性 ─ 地域差から個人の揺らぎまで」
柿澤宏昭「ロシアの森林開発」
山田孝子「ペレストロイカ後のシベリアにおけるエスニシティとアイデンティティの再構築の戦略 ─ ハンティとサハの事例から」
研究成果

現在の北方ユーラシア、日本、北アメリカを含む周極地域は急激な環境的、政治的、経済的変化に見舞われ、その文化は大きく変化しようとしている。そこで、この地域で進行している民族と文化と言語の動態に関する比較研究を行い、北方諸民族のエスニシィティとアイデンティティの実態を明らかにし、多様な文化の共存と相互理解という21世紀の課題を民族学的視点から解明した。

2000年度

現在の北方ユーラシア、日本、北アメリカを含む周極地域は急激な環境的、政治的、経済的変化に見舞われ、その文化は大きく変化しようとしている。そこで、この地域で進行している民族と文化と言語の動態に関する比較研究を行い、北方諸民族のエスニシィティとアイデンティティの実態を明らかにし、多様な文化の共存と相互理解という21世紀の課題を民族学的視点から解明することを目的とする。

【館内研究員】 池谷和信、岸上伸啓、小長谷有紀、佐々木史郎、庄司博史
【館外研究員】 井上敏昭、大曲佳世、奥田統己、風間伸次郎、呉人恵、佐々木亨、瀬川昌久、高橋邦秀、津曲敏郎、本間利久、宮岡伯人、山田孝子、吉田睦
研究会
2000年6月3日~4日
煎本孝「民博共同研究『周極地域のエスニシィティとアイデンティティに関する研究』をはじめるにあたって」
池谷和信「チュクチのトナカイ牧畜の変化とアイデンティティの形成」
井上敏昭「われらカリブーの民 ─ グイッチンのトナカイ狩猟に関する言説と開発反対運動」
高橋邦秀「サハ共和国における北方森林の生態」
瀬川昌久「『客家エスニシティー』の生成 ─ 円型土楼を中心に」
呉人恵「コリャーク語の言語的アイデンティティとしての抱合」
2000年12月1日~2日
吉田睦「シベリアにおけるネネツのトナカイ飼育について」
雲肖梅「内モンゴルにおけるトゥメト・モンゴル人のアイデンティティ」
煎本孝「アイヌのアイデンティティ」
2001年2月24日~25日
大曲佳世「ジェイムズ湾クリーとブッシュフード」
佐々木亨「アイヌ文化展示に関する評価研究の試み ─ 北海道開拓記念館の調査から」
呉人恵「ムチギン・ジャジェチアン(私たちの家族)ができるまで ─ コリャーク語保存の一つの小さな試み」
研究成果

**成果文章**