国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

ジェサップ北太平洋調査を追試する(1902-2002) ─ 極東シベリア-北米大陸先住諸民族の文化変容 ─

共同研究 代表者 谷本一之(客員)

研究プロジェクト一覧

2004年度

ジェサップ北太平洋調査(1897-1902)は、フランツ・ボアズがアメリカ自然史博物館の事業として組織・実行した空前絶後の人類学調査であった。その成果は全11巻の報告シリーズとして公刊されている。この調査が対象としたいわゆる「ジェサップ領域」(新大陸のコロンビア河以北、アジア側ではアムール以北)に分布する先住諸民族の生活・文化は、近代化の波に洗われ、この100年の間に大幅な変容を遂げてきている。本研究は、現在この地域でフィールドワークを行なってきている研究者により、現在の伝承記録とジェサップの成果を具体的に対応させ、検証することによって、諸民族文化の変容の課程を明らかにしようとするものである。さらにこれら諸民族が、近代国家に組み入れられていく過程での差別や同化政策に抗して、自らのアイデンティティーをいかに構築していくかの問題も討議される。

【館内研究員】 池谷和信、大塚和義、佐々木史郎、高倉浩樹(客員)
【館外研究員】 井上紘一、大島稔、荻原眞子、吉田睦、渡部裕
研究会
2004年12月11日(土)13:30~(第3演習室)
大島稔「カムチャッカのトナカイ飼育の現状」
谷本一之「歌の歌詞にみる北方諸民族の心情の100年」
森田稔「コメント」
井筒勝信「アイヌ語学史の100年 ─ 品詞分類を中心に ─」
2004年12月12日(日)10:00~(第3演習室)
岡田敦子「ユピック仮面の変遷」
大村敬一「イヌイットアートの100年 ─ 考古から現代へ ─」
「総合討論」
2005年1月29日(土)13:30~(第1演習室)
佐々木史郎「シベリアの民族移動の100年」
小杉康、大矢京右「クリール・アイヌの物質文化にみられる文化変容の一断面」
谷本一之「北の先住民が「甲板」で観たもの、観せたもの」
2005年1月30日(日)10:00~(第1演習室)
小野智香子「カムチャッカ先住諸民族言語(イテルメン、コリャク、チュクチ)の語彙の比較研究」
手塚薫「千列島におけるアイヌ文化の拡散・適応・変容について」
大島稔・渡部裕「コメント」
2005年2月19日(土)13:30~(大演習室)
斎藤玲子「北太平洋からのみやげものの100年」
池谷和信「現代のチュクチの海獣狩猟について」
谷本一之「北の先住民が甲板で観たもの、観せたもの」
2005年2月20日(日)10:00~(大演習室)
総合討論「北太平洋研究の今後」
荻原真子、井上紘一「問題提起」
研究成果

主としてアメリカ自然史博物館が公刊した調査報告書、またBOGORAS、JOHELSONの録音資料からの情報を、共同研究員が現地調で得た資料と突き合わせ、具体的にこの100年の文化変容の実態を浮き彫りにすることができた。特にトナカイ遊牧ついては、その変化の経済的、政治的要因をかなり明確にすることが出来た。

2003年度

ジェサップ北太平洋調査(1897-1902)は、フランツ・ボアズがアメリカ自然史博物館の事業として組織・実行した空前絶後の人類学調査であった。その成果は全11巻の報告シリーズとして公刊されている。この調査が対象としたいわゆる「ジェサップ領域」(新大陸のコロンビア河以北、アジア側ではアムール以北)に分布する先住諸民族の生活・文化は、近代化の波に洗われ、この100年の間に大幅な変容を遂げてきている。本研究は、現在この地域でフィールドワークを行なってきている研究者により、現在の伝承記録とジェサップの成果を具体的に対応させ、検証することによって、諸民族文化の変容の課程を明らかにしようとするものである。さらにこれら諸民族が、近代国家に組み入れられていく過程での差別や同化政策に抗して、自らのアイデンティティーをいかに構築していくかの問題も討議される。

【館内研究員】 池谷和信、大塚和義、岸上伸啓、佐々木史郎
【館外研究員】 井上紘一(客員)、大島稔、荻原眞子、佐々木亨、高倉浩樹、出利葉浩司、森田稔、吉田浩、渡部裕
研究会
2003年10月31日(金)13:30~(第1演習室)
大島稔「「コリャク衣服文化」の100年」
佐々木史郎「ヨーロッパ「シベリア民族資料」の100年」
谷本一之「「歌の歌詞にみる北方諸民族の心情」の100年」
森田稔「コメント」
2003年11月1日(土)10:00~(第1演習室)
大塚和義「「北太平洋地域民族資料収集」の100年」
井上紘一「コメント」
小野千賀子「「イテリメン語研究」の100年」
2004年1月30日(金)13:30~(第1演習室)
大塚和義「北太平洋民族資料収集の100年」
天野哲也「北太平洋「熊送り」の100年」
2004年1月31日(土)10:00~(第1演習室)
長崎郁「ユカギル語研究の100年」
宮岡伯人「環北太平洋言語の100年」
「総合討論」
2004年2月21日(土)13:30~(第2演習室)
笹倉いる美「ウイルタをめぐる変容 ─ 特に網走発の事例から」
谷本一之「北太平洋地域音声記録の100年 ─ Bogoras,Johelsonそして以後 ─」
2004年2月22日(日)10:00~(第2演習室)
呉人徳司「チュクチの人々の伝統文化の現状」
総合討論「北太平洋地域文化研究の100年 ─ 現状の確認と今後の展望 ─」

2002年度

ジェサップ北太平洋調査(1897-1902)は、フランツ・ボアズがアメリカ自然史博物館の事業として組織・実行した空前絶後の人類学調査であった。その成果は全11巻の報告シリーズとして公刊されている。この調査が対象としたいわゆる「ジェサップ領域」(新大陸のコロンビア河以北、アジア側ではアムール以北)に分布する先住諸民族の生活・文化は、近代化の波に洗われ、この100年の間に大幅な変容を遂げてきている。本研究は、現在この地域でフィールドワークを行なってきている研究者により、現在の伝承記録とジェサップの成果を具体的に対応させ、検証することによって、諸民族文化の変容の課程を明らかにしようとするものである。さらにこれら諸民族が、近代国家に組み入れられていく過程での差別や同化政策に抗して、自らのアイデンティティーをいかに構築していくかの問題も討議される。

【館内研究員】 池谷和信、大塚和義、岸上伸啓、佐々木史郎、井上紘一(客員)、大島稔(客員)
【館外研究員】 荻原眞子、佐々木亨、高倉浩樹、出利葉浩司、森田稔、吉田睦、渡部裕