国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。
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環日本海文化に関する人類学的研究:その環境、資源、交易をめぐって

共同研究 代表者 大塚和義

研究プロジェクト一覧

2004年度

環日本海域は多様な微気候区と生物層を生み出してきた。こうした背景のもとに、この地域ではさまざまな資源を利用する諸集団が並存してきたが、交易その他の接触を通して共存あるいは対立の関係を取り結び、めまぐるしく統合と分離を繰り返してきた。このような統合と分離のパターンに着目したとき、主要資源の分布や性質、あるいは中国やロシアなどの大国との関係などにより、環日本海地域をいくつかのクラスターに分けることが可能ではないか。こうした仮説にもとづきつつ、環日本海域内部に小文化圏を設定して地域史を捉えなおすことは、現代の国際関係について見通しを得るためにも有益であろう。

【館内研究員】 朝倉敏夫、飯田卓、池谷和信、岸上伸啓、佐々木史郎
【館外研究員】 赤坂憲雄、赤羽正春、秋道智彌、安里進、荒井信雄、菊池勇夫、菊池俊彦、小泉格、小林眞人、田島佳也、立平進、塚原鉄二、中川裕、中村和之、橋村修、枡本哲、依田千百子
研究会
2004年12月10日(金)13:30~(富山県民生涯学習カレッジ高岡地区センター学習室)
「共同研究会」
2004年12月11日(土)10:00~12:00(富山県民生涯学習カレッジ高岡地区センター学習室)
「共同研究会」
2004年12月11日(土)13:30~12:00(富山県高岡市万葉歴史館)
「パネルディスカッション 万葉の時代と国際環境 ~ 日本海学から環日本海諸国の交流をひもとく ~」参加
「共同研究会:パネルディスカッションを踏まえての総合討論」
中村和之「元・明時代における毛皮交易-サハリンを中心に-」
森俊「熊解体儀礼(特に臓器供犠)とその周辺-日本海沿岸域を中心に-」
今石みぎわ「削りかけ再考」
小泉格「日本海のポテンシャル」
2005年2月15日(火)10:00~(第4演習室)
「シンポジウム打合せ」
2005年3月19日(土)、20日(日)
シンポジウム『夷酋列像を読み解く-環日本海の交易の視点から
研究成果

成果は大きく二つの分野に大別される。第一に日本海を取り巻く歴史的・文化的な共通性と独自性について個別的な研究対象から描き出された成果を発表し、参加者との相互討論によって問題の前進をはかった。ことに、日本の基層文化のひとつの表象でもある「削りかけ」は非稲作地帯の、北はサハリン島およびアムール川流域に、日本列島を含めて南は東南アジアのヴェトナム、ボルネオなどに存在するという巨視的な視点と、形態論的な多様性と地域性がはじめて提示された成果は注目すべきものである。第二に、環日本海世界を取り巻く「先住民と国家との関係」を解き明かす基礎となる資源の移動、つまり交易や収奪などの手段による物流が先住民社会のみの変化ではなく、国家などの体制を背景にした社会の政治的・文化的あり方も変化させてきたことの一つの象徴的な画像である『夷酋列像』を、日本美術史・日本近世史・日露関係論・アイヌ史・アイヌ文化論など多面的な角度からはじめて読み解く研究会およびこれと連動したシンポジウムを開催し、重要な成果を得ることができた。

共同研究会に関連した公表実績
出版物
大塚和義 2004.7「樺太アイヌ民族誌――伝統と現在」『樺太アイヌ民族誌――工芸に見る技と匠――』財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構、pp.90~99
大塚和義 2005.3「環日本海における毛皮の生産と流通」大塚和義・小泉格・丹羽昇編『日本海学の新世紀5 交流の海』角川書店 pp.210~220
大塚和義 「クロテンからみた渤海の交流ネットワーク―オホーツク文化の毛皮生産の役割」上田正昭監修『古代日本と渤海』大巧社 印刷中
大塚和義 『「夷酋列像」を読み解く 抄録・資料図録』2005年3月 国立民族学博物館
小泉格 2005.3「海流の脈動サイクルと人の移動」『日本海学の新世紀5 交流の海』角川書店 pp.128~135
石井忠 「玄海灘を中心として漂流物から読み取る沿岸諸国の生活とその変化」『日本海学の新世紀5 交流の海』角川書店 pp.223~233
朝倉敏夫 「日韓民族文化研究にむけて」『日本海学の新世紀5 交流の海』角川書店 pp.234~243
シンポジウム等
平成16年12月11日 「パネルディスカッション 万葉の時代と国際環境―日本海学から環日本海諸国の交流をひもとく」国立民族学博物館・富山県日本海学推進機構
平成17年2月21日 「第11回氷海の民シンポジウム」北海道紋別市

2003年度

環日本海域は多様な微気候区と生物層を生み出してきた。こうした背景のもとに、この地域ではさまざまな資源を利用する諸集団が併存してきたが、交易その他の接触を通して共存あるいは対立の関係を取り結び、めまぐるしく統合と分離を繰り返してきた。このような統合と分離のパターンに着目したとき、主要資源の分布や性質、あるいは中国やロシアなどの大国との関係などにより、環日本海地域をいくつかのクラスターに分けることが可能ではないか。こうした仮説にもとづきつつ、環日本海域内部に小文化圏を設定して地域史を捉えなおすことは、現代の国際関係について見通しを得るためにも有益であろう。

【館内研究員】 朝倉敏夫、飯田卓、池谷和信、岸上伸啓、佐々木史郎
【館外研究員】 赤坂憲雄、赤羽正春、秋道智彌、安里進、荒井信雄、菊池勇夫、菊池俊彦、小林真人、田島佳也、立平進、富山一成、中川裕、橋村修、枡本哲、依田千百子
研究会
2003年9月20日(土)13:30~ / 21日(日)10:00~(第1演習室)
大塚和義「研究会の目的とすすめ方1」
飯田卓「研究会の目的とすすめ方2」
小泉格「環日本海域の循環体系」
橋本清信「富山県が提唱する日本海学構想」
荒井信雄「ロシアからみた日本海の政治・経済的ポテンシャル」
中村和之「中国製品の環日本海域への流通 ─ 蝦夷錦を中心に ─」
「総合討論」
2003年11月22日(土)13:30~ / 23日(日)10:00~(第4演習室)
依田千百子「神話・伝承からみた環日本海」
小嶋芳孝「最近の渤海調査からみた日本海交流」
山田悟郎「雑穀栽培からみた北海道と大陸」
立平進「捕鯨と寄り鯨をめぐる民俗世界 ─ 長崎県の事例を中心に」
「総合討論」
2004年1月24日(土)13:30~ / 25日(日)10:00~(第4演習室)
細谷良夫「日本に伝えられた「マンジュ・グルン清朝」をめぐる情報」
赤羽正春「大陸の舟と日本海の船」
田島佳也「松前蝦夷地と商人の活動」
秋月俊幸「19世紀半ばのロシア人がみたサハリン・アイヌ」
全員「総合討論」
2004年2月21日(土)13:30~ / 22日(日)10:00~(第4演習室)
石井忠「玄界灘の漂着物」
安里進「琉球漆器の拡散」
林史樹「好餌化する韓国の健康観をめぐるネットワーク形成」
小泉格「サハリンにおける石油・天然ガスの経済効果と環境問題」
全員「総合討論」
2005年3月19日(土)9:30~ / 20日(日)10:00~(第4セミナー室/講堂)
夷酋列像を読み解く-環日本海の交易の視点から