国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。
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モンゴル高原における環境保全型経済の構築

共同研究 代表者 小長谷有紀

研究プロジェクト一覧

モンゴル高原でおこなわれてきた遊牧は、単に自然環境に対する適応としてではなく、むしろ草原という生態を作りながら維持するという機能を果たしてきたことが、近年明らかになりつつある。ところが、今日、市場経済化がすすみ、グローバル化が進行するにつれて、遊牧民は社会活動に応じた選択を優先させるために、自然環境の維持ができなくなりつつある。

そこで、本研究は、遊牧をめぐる自然科学と人文科学の研究者が集まり、環境を保全しながら、遊牧を経済活動として成立させるための方策を考察する。すなわち、地球規模で論じられている「エコ・エコノミー」の創造として、具体事例を研究開発するものである。

2005年度

2004年度に本研究は、関連する他の研究と連動することによって急速な展開をみた。
  国際ワークショップ『モンゴル遊牧社会における土地利用―過去・現在・未来―』
  国際シンポジウム『生態移民:実践と経験』

そこで、環境保全のための議論を継続しておこない、具体事例を研究開発し、モンゴル高原において自然環境の維持と遊牧の経済活動の両立ための方策を考察し、それらを周知できる書籍を出版したいと考える。

【館内研究員】 池谷和信、佐々木史郎、松井健(客員)
【館外研究員】 天野卓、大野旭、尾崎孝宏、呉人恵、島崎美代子、杉田倫明、田村憲司、中尾正義、原山煌、藤田昇、本多嘉明、宮崎真、森真一、安成哲三、湯本貴和
研究会

国際シンポジウム『環境保全型経済の構築』(2005.06.27)

2005年12月20日(火)10:00~(第1演習室)
小長谷有紀「中国における環境保全型移民政策に関する実態調査報告 ─ 生態移民・退耕還林・退牧還草など」
研究実施状況

本年度はとりまとめのための延長期間であったため、モンゴル国ウランバートルで2005年6月27日に国際シンポジウム『環境保全型経済(Eco-Economy)の構築 ― 自然資源と文化資源を利用して、市場経済を超える方法―』を実施した。ただし、その会議出席のための予算は、各参加者が工面し、会議運営のための予算は開催場所のモンゴル国立科学技術大学が工面した。

国内研究会としては2005年12月20日に国立民族学博物館において、テーマ「中国における環境保全型移民政策に関する実態調査報告―生態移民・退行還林・退牧還草など―」を開催した。この成果は、本年度より開始された基盤研究『中国における環境政策「生態移民」の実態調査と評価方法の確立』として、来年度中国内蒙古自治区で開催される国際シンポジウムで発表される予定である。

以上のように、モンゴル国と中国にわたるモンゴル高原の環境保全に関する応用実践的な本共同研究は、それぞれ国際的に社会還元する方向で展開した

研究成果の概要

本年度に実施した国際シンポジウム『環境保全型経済(Eco-Economy)の構築― 自然資源と文化資源を利用して、市場経済を超える方法―』については、帰国後に直ちにHP上にその内容を公開した。

また、当該会議の報告資料は、2003年7月24日にモンゴル国ウランバートル、モンゴル国立大学敷地内にある日本センターで実施した日本モンゴル学術交流会『モンゴル国の持続的発展と環境問題』において報告された発表をもとに、他の日本人ならびにモンゴル人研究者に呼びかけて作成した資料集と合冊して、『21世紀モンゴルの発展-環境保全型経済の構築』がモンゴル国において作成された。

本年度に本格的な実施を開始した非電化の取り組みについては、具体的な事業として実施中であり、その意義を社会に向けて提言していくという本共同研究の研究活動としてはその役割を果たし終えたと総括することができる。

共同研究会に関連した公表実績

1)国際シンポジウム『環境保全型経済(Eco-Economy)の構築― 自然資源と文化資源を利用して、市場経済を超える方法―』についての概要紹介 http://www.minpaku.ac.jp/research/activity/news/iurp/03jr042_05

2)『21世紀モンゴルの発展-環境保全型経済の構築』ウランバートル(モンゴル語)2005

2004年度

自然環境に関する共同研究(平成13~14年度)の成果を大いに生かして、かつ市場経済化に関する個人研究等の成果(『遊牧がモンゴル経済を変える日』2002.10 出版文化社)を組み合わせて発展させた研究テーマである。

【館内研究員】 池谷和信、佐々木史郎、松原正毅
【館外研究員】 天野卓、大野旭、尾崎孝宏、加茂義明、呉人恵、島崎美代子、杉田倫明、田村憲司、中尾正義、原山煌、藤田昇、本多嘉明、松井健、宮崎真、森真一、安成哲三、湯本貴和
研究会
2004年7月25日(日)10:00~(第4演習室)
シンジルト・ブレンサイン「社会主義イデオロギーの身体化 ─ 中国モンゴル族地域の地平において ─」
2004年11月20日(土)13:00~(岐阜大学応用生物学研究室)
バトジャルガル「モンゴルの自然環境と社会主義インパクト」
2004年11月21日(日)10:00~(第4演習室)
バトジャルガル「モンゴルの自然環境と社会主義インパクト」
2004年12月3日(金)13:00~(第4演習室)
シンジルト、関良基、児玉香菜子、スエ、鬼木俊次、中村知子、中尾正義「生態移民の事例報告」
 国際シンポジウム『生態移民:実践と経験』(2004年7月30-31日 北京・中国社会科学院)
2004年12月16日(木)9:00~(第4演習室)
都竹武年雄「戦前の蒙古事情」
2005年1月30日(日)10:00~(第3演習室)
シンジルトなど「内モンゴルにおける土地利用の変化」
2005年2月21日(月)13:00~(第3演習室)
上村明「ポスト社会主義時代のモンゴル国における牧畜経営 ─ 開発モデルと遊牧の実践、西部地方の例から ─」
2005年3月17日(木)13:00~(第3演習室)
都竹武年雄「戦前の内蒙古事情 ─ 2」
研究成果

本研究は、遊牧をめぐる自然科学と人文科学の研究者が集まり、環境を保全しながら、遊牧を経済活動として成立させるための方策を考察する。すなわち、地球規模で論じられている「エコ・エコノミー」の創造として、具体事例を研究開発するものとして、毎年シンポジウムを開催し、その内容を『科学』(岩波書店)で発表するなどした。

共同研究会に関連した公表実績

 「非電化技術をめぐる現地実験」非電化工房ホームページ

2003年度

自然環境に関する共同研究(平成13~14年度)の成果を大いに生かして、かつ市場経済化に関する個人研究等の成果(『遊牧がモンゴル経済を変える日』2002.10 出版文化社)を組み合わせて発展させた研究テーマであり、それにともなって新規に大幅にメンバーを代えている。

【館内研究員】 池谷和信、岸上伸啓、佐々木史郎、松原正毅
【館外研究員】 天野卓、大野旭、尾崎孝宏、加茂義明、呉人恵、島崎美代子、杉田倫明、田村憲司、中尾正義、藤田昇、本多嘉明、松井健、宮崎真、森真一、安成哲三、湯本貴和
研究会
2003年5月17日(土)10:00~(東北大学 東北アジア研究センター)
ルハムスレン「遊牧概念の再検討」
2003年6月16日(月)13:00~(第1演習室)
島村一平「シャーマンの神話分析から」
2003年7月14日(月)10:00~(第3演習室)
鬼木俊次「モンゴルおよび内モンゴルにおける草原の持続的利用に関する経済分析」
2003年7月24日(木)
「ウランバートルにてモンゴル環境フォーラム」
2003年10月3日(金)10:00~(第4セミナー室)
「モンゴル高原における植林神話の再検討」
2003年11月19日(水)10:00~(三田会議所)
小林志歩「モンゴル支援国会議について」
2003年12月21日(日)10:00~(特別研究室)
小長谷有紀「NGO活動のアセスメントについて」
2004年3月30日(火)10:00~(第3演習室)
藤井麻湖など「中央アジアの諸事例の紹介」
研究成果

モンゴル高原で多様に実施されている「植林」について焦点をあてて、生態学、工学などの諸分野の研究者ならびに、植林を実践している活動家たちとともに、植林のあり方を問うフォーラムを実施した。その成果はモンゴル高原をさらに相対化させるという視野のもとに、『科学』2004年3月号に「植林の現在-研究と実践の交差するところ」として特集され発展した。

また、モンゴル国の首都ウランバートルで「モンゴル国の持続的発展と環境問題」と題する学術交流会を福武文化学術振興財団の助成を受けて開催した。その成果はさらに『モンゴル環境保全のためのハンドブック(仮題)』として現在、編集中である。

2003 小長谷有紀・浅野眞希「日本・モンゴル学術交流会-モンゴル国の持続的発展と環境問題」『科学』2003年11月号(岩波書店)
2003 特集「モンゴル:環境立国の行方」『科学』2003年5月号(岩波書店)