梅棹忠夫モンゴル研究資料の学術的利用
キーワード
アーカイブズ、梅棹忠夫、モンゴル
目的
本館の創設に尽力し、初代館長をつとめた梅棹忠夫ののこした資料は「梅棹アーカイブズ」とよばれている。それらのうちすでに登録整備されているのは写真資料およそ3万5千点にすぎない。その他の資料については2011年度よりデジタル化とともに登録作業がおこわれることになっている。本研究は、そうした資料整備によっていかに学術的な活用が展開されるかを具体的にしめす先例となるように、アーカイブズ資料の学術的な利用を目的とする。
梅棹忠夫ののこした資料のうち、もっとも多大なまとまりは1944年から46年にかけて中国内蒙古自治区などで調査研究がおこなわれたときの資料である。本研究は、それらの梅棹忠夫モンゴル研究資料に関するデジタル・データ化作業を活用して、それらの記載内容について、学術的に整理し、分析するものである。
分析にあたっては、国際学術交流協定にもとづき、中国関係諸機関とともに、別途、国際的な共同研究を実施し、その成果を公開して、地元にも還元する。
2013年度
| 【館内研究員】 | 堀田あゆみ |
|---|---|
| 【館外研究員】 | 大野旭(楊海英)、呉人恵、財吉拉胡、那沁、縄田浩志 |
研究会
- 2013年5月18日(土)10:00~13:00(大正大学 三号館4階 第2閲覧室)
- エリデニ(東京大学農学生命科学研究科・森林理水及び砂防工学研究室・特任研究員)・梅棹アーカイブズの利用とリモートセンシングに基づくモンゴル高原における土地利用変遷
- 那沁(岡山大学)・モンゴルの遊牧における季節移動と日帰り放牧の事例調査報告
- 討論
2012年度
5月に会合を開き、国際共同研究集会に向けて、研究成果の途中報告をおこなう。10月に国際共同研究集会のための準備会合として、研究成果の最終報告をおこなう。いずれの会合も、アーカイブズ資料の判読を協業しながら報告内容を検討する。
2月に、別途費用を工面して、モンゴル、中国、ロシアからの研究者を招聘し、共同研究会の国際化を図り、国際共同研究会を実施する。さらに成果公開のための準備に入る。現時点では、以下の刊行物を予定している。
| 【館内研究員】 | 堀田あゆみ |
|---|---|
| 【館外研究員】 | 楊常宝、大野旭(楊海英)、呉人恵、Nachinshonhor, G.U.、縄田浩志 |
研究会
- 2013年1月9日(水)13:30~17:30(国立民族学博物館 第1演習室)
- 梅棹資料に関する討議(全員)
- 小長谷有紀・堀田あゆみ「2012年5月の中国内モンゴルでの調査結果について」
- 那沁「梅棹草稿論文における放牧論について」
- 総合討論
- 2013年2月16日(土)13:30~17:30(国立民族学博物館 第1演習室)
- 小長谷有紀・堀田あゆみ「遊牧図譜の原画集の刊行について」
- 縄田浩志「フィールドノート47号および48号における研究企画について」
- 総合討論
2011年度
10月に会合を開き、全資料を実見し、各研究者のタスクを明確にする。以下のような作業が想定される。フィールド・ノートおよそ50冊とローマ字カード2000枚との照合。カード項目に関する分類整理。スケッチに書かれたモンゴル語の語彙の整備。12月に会合を開き、各研究者の成果を報告し、方針を修正する。2月に会合を開き、各研究者の成果を報告する。
| 【館内研究員】 | 堀田あゆみ |
|---|---|
| 【館外研究員】 | 楊常宝、大野旭(楊海英)、呉人恵、Nachinshonhor, G. U.、縄田浩志 |
研究会
- 2011年10月10日(月)10:00~17:00(国立民族学博物館 第1演習室)
- 全体打合せ
-
2012年2月11日(土)10:00~17:00(日本科学未来館)
2012年2月12日(日)10:00~16:00(日本科学未来館) - 《2月11日(土)》
- 打ち合わせ、小長谷有紀(国立民族学博物館)・展示解説、質疑応答
- 報告(1):ボルドバータル(モンゴル国立科学技術大学)
- 報告(2):テクスバヤル(中国内蒙古大学)
- 討論 コメンテーター:楊海英(静岡大学教授文化人類学)、呉人恵(富山大学教授言語学)
- 《2月12日(日)》
- 資料解読の報告(1)物質文化について:堀田あゆみ
- 資料解読の報告(2)和崎写真について:楊海英
- 資料解読の報告(3)牧野論について:ナチンションコル
- 資料解読の報告(4)遊牧論について:縄田浩二
- 総合討論 討議者:小長谷有紀
研究成果
現物資料についての精査を進めている段階であり、作業の結果、明らかになった点は以下のとおりである。
- フィールド・ノートのうち、ナンバーリングは整理の段階でほどこされたものであり、ナンバー47および48のノートは、調査前に書かれた。とくにナンバー48のノートは、渡航前に日本で記された。モンゴル語の表記法に関する検討や、今和次郎を参照して素描することなどが記されている。そのほか、遊牧起源論についてすでに「狩猟民が動物の群れを追いかける」というアイデアが記されている。
- 草稿は、複数の論考からなり、全体として一冊の書としてまとめられるよう構成されている。全体を復原して刊行する意義が高い。
- カードの一部は、引用文献について論文ごとに概要が記されたものである。
- 図譜については、すでに大部が「モンゴル遊牧図譜」として『回想のモンゴル』に掲載されているが、オリジナルに含まれたモンゴル語表記や解説などは省略されて刊行されたため、これらの情報を含めて原図を復原して刊行する価値がある。
- 写真のうち、調査の具体的な様子をとどめた一部には解説を付して刊行したほうがよい。







