物質性の人類学(物性・感覚性・存在論を焦点として)
キーワード
物質性、感覚性、存在論
目的
インターネットをはじめとするテクノロジーの革新による仮想現実の蔓延の結果、人文社会科学の領域においても、人間にとっての物質世界の重要性が急速に低下しているかに見える。しかし、人間は依然として、(それぞれ特定の物性をもつ生物や無生物、自然物や人工物から構成される)物質世界のなかに存在し、その物質世界に物質たる身体の感覚を介して物質的に関与する、それ自身徹頭徹尾、物質的存在でありつづけている。本研究は、人間の生活と人生の基盤をなす「物質性」(materiality)が人類学においてこれまで不当に看過されてきたとの認識に立ち、今後の人類学が問うべき「物質性」に関する問題系を、物性・感覚性・存在論の観点からラディカルに再考察することを通じて明らかにすることと、「物質性」に照準する具体的な手触りのある事例研究を、各自のフィールドワークに基づいて生みだし、今後の研究のために範を示すことを目的とする。
2013年度
| 【館内研究員】 | 関雄二、野林厚志 |
|---|---|
| 【館外研究員】 | 秋山聰、鏡味治也、川田順造、佐々木重洋、武井秀夫、出口顯、松本直子、溝口孝司、箭内匡、渡辺公三 |
研究会
- 2013年6月15日(土)13:00~18:00(国立民族学博物館 大演習室)
- 「液体の物質性:血とか水とか」課題文献の講読および全員によるミニ報告
- 全体討論
2012年度
第1期「起」(「物質性」についての問題提起および問題意識の共有)によって整えられた基盤の上に、第2期「承」にあたる平成24年度においては、「物質性を焦点とする個別研究の提示と交錯する論点の整理」を行う。そこでは、各メンバーが実施してきた、あるいは現在実施しつつある研究について報告し、その成果を共有することを目指す。この段階では、「物質性」という問題系の多様性および広がりを確認することを重点とする。年度内に5回の共同研究会を開催し、第1回では、全メンバーの個別研究の予備的提示とディスカッションを行い、共同研究として焦点化すべきトピック・概念の洗い出しを試みる。第2回~第5回は、各回2~3名ずつ、「物質性」に関わる個別研究の報告を行い、相互の関連付けを視野に入れたディスカッションを行う。なお、それに加え、「感覚性」に関わる問題提起のために、心理学・神経科学方面の専門家を外部から招聘して報告をお願いすることを予定している。
- 研究代表者による問題提起
- 共通図書の輪読による問題意識の共有
| 【館内研究員】 | 関雄二、野林厚志 |
|---|---|
| 【館外研究員】 | 秋山聰、鏡味治也、川田順造、佐々木重洋、武井秀夫、出口顯、松本直子、溝口孝司、箭内匡、渡辺公三 |
研究会
- 2012年5月12日(土)13:00~18:00(国立民族学博物館 大演習室)
- 全員「ゴミと物質性」をめぐるミニ問題提起
- 全員「ゴミと物質性」をめぐる総合討議
- 2012年7月28日(土)13:00~18:00(国立民族学博物館 大演習室)
- 秋山聰(東京大学)「西洋中近世におけるキリスト像の生動性をめぐって」
- 出口顯(島根大学)「エンバーミングと記号化する身体」
- 武井秀夫(千葉大学)「からだを形作ることば」
- 全員「からだと物質性」についての総合討論
- 2012年11月10日(土)13:00~18:00(国立民族学博物館 大演習室)
- 松本直子「考古学からみた物質性:象徴的人工物と物質性」
- 溝口孝司「物質性と考古学:社会性の変容との関連から」
- 野林厚志「触感という観点からの展示物の解釈」
- 全員「考古学からみた物質性」についての総合討論
- 2013年2月2日(土)13:00~18:00(国立民族学博物館 第7セミナー室)
- 川田順造「モノとケガレ―物質が内包する可視触性と不可視触性―」
- 質疑応答およびコメント
- 全体討論
2011年度
「物質性」という問題提起および問題意識の共有(本共同研究を生産的なものとするため、従来の研究の総括的レヴューを行い、今後検討すべき問題点を網羅的に精査し、議論のための共通基盤を固めることをめざす)
- 研究代表者による問題提起
- 共通図書の輪読による問題意識の共有
| 【館内研究員】 | 関雄二、野林厚志 |
|---|---|
| 【館外研究員】 | 秋山聰、鏡味治也、川田順造、佐々木重洋、武井秀夫、出口顯、松本直子、溝口孝司、箭内匡、渡辺公三 |
研究会
- 2011年12月3日(土)13:00~18:00(国立民族学博物館 大演習室)
- 古谷嘉章(九州大学)「共同研究会についての趣旨説明と問題提起」
- 共同研究会メンバー全員「物質性の人類学をめぐる各自の研究状況の説明」
- 全員「総括討論および今後の研究計画の策定」
- 2012年2月11日(土)13:00~18:00(国立民族学博物館 第6セミナー室)
- 全員・先行研究のレヴューと討論
研究成果
2011年度は、「物質性」という問題意識を共有することをめざし、従来の研究の総括的レヴューを行い、今後検討すべき問題点を網羅的に精査し、議論のための共通基盤を固めることに努めた。具体的には、2回の研究会を実施し、第一回研究会においては、研究代表者が用意したペーパー(「共同研究『物質性の人類学』のめざすもの」)にもとづいて趣旨説明と問題提起を行い、メンバー各自が現段階で焦点化したい「物質性」に関連するトピックについて簡単に説明した。第二回研究会においては、事前に配布して予習を義務付けておいた2篇の論文にもとづいて包括的な議論をおこなった。(1)T.インゴルドの論文にもとづいて、「物質性」という概念にかかわる対立点を検討した。(2)E.ヴィヴェイロス・デ・カストロの論文にもとづいて、「パースペクティヴィズム」を焦点として、「物質性」と「存在論」の関係についての検討をおこなった。







