ストリート・ウィズダムとローカリティの創出に関する人類学的研究
キーワード
ストリート、ローカリティ、コスモポリタニゼーション
目的
今日、ネオリベラリズムの主導する世界資本主義の浸透は社会に「恒常性の喪失」をもたらしている。しかも、主流社会とアンダークラスという垂直的に分離した「管理型」社会を産出している。アンダークラスや不安定労働者層は、保障なき世界をストリートに近接して剥き出しで生きる現代の前衛と言える。主流ホーム社会の中核の人々さえも現代社会の強い遠心力に不安を募らせている。故に、縁辺のストリートを生き抜く人々のぎりぎりの実践知は、今日すべての人々に要求されている。この図式を現代の地域構造に向ければ、今日のローカリティの盛衰も広義の「ストリート現象」と言える。流動する時間を生きるグローバル・シティの強大化の下で、周辺化されるローカリティはその生き残りをかけて格闘している。この狭義から広義までの「ストリート」現象(敗北と再創造の過程)の記述分析が本研究の第一の目的となる。つまり、主流社会の設計主義が通用しない、偶有的なフローを資源にしたストリートの戦術的生き延び方のエスノグラフィを作成する。
2013年度
| 【館内研究員】 | 岸上伸啓 |
|---|---|
| 【館外研究員】 | 朝日由実子、阿部年晴、小田亮、姜竣、北山修、高坂健治、鈴木晋介、近森高明、Gill, Tom、内藤順子、西垣有、根本達、野村雅一、古川彰、松本博之、丸山里美、南博文、森田良成、和﨑春日 |
研究会
- 2013年6月29日(土)13:00~19:00(国立民族学博物館 第4セミナー室)
- 田嶌誠一(九州大学)「児童福祉施設における暴力問題の理解と対応」
- 飯嶋秀治(九州大学)「施設と暴力ー児童福祉施設で人類学者として何を体験したか」
- 総合討論
2012年度
本共同研究会は、2011年度より5年間にわたって科研費の補助を受けて行われる基盤研究と併行して推し進められるものである。その科研による現地調査の各メンバーの成果、文献研究を基盤にして、共同研究会での発表と討論が重ねられていくもので、共同研究会の二年目は2011年度の調査成果の共有と各自の勉強の成果を突き合わせながら討議していく。
- 南、北山の精神分析学の立場からのニューヨーク調査の成果の報告
- 関根のインドの都市ストリート研究及びロンドンの南アジア系移民の生活世界の調査報告
- 野村のイタリアの精神病院の解放運動の経緯と展開に関する調査の報告
- 和崎のカメルーンのローカリティ状況の報告
- 鈴木(晋介)の日本の地方市場の窮状とスリランカのプランテーション地域のコミュニティ状況の報告
- サラ・ティーズリによるデザインという視角についての研究成果の報告
- 門脇篤(まちとアート研究所)氏を迎えて、その活動を紹介してもらって討議
| 【館内研究員】 | 岸上伸啓 |
|---|---|
| 【館外研究員】 | 朝日由実子、阿部年晴、小田亮、姜竣、北山修、Gill, Tom、鈴木晋介、高坂健治、近森高明、内藤順子、西垣有、野村雅一、古川彰、丸山里美、南博文、森田良成、和﨑春日 |
研究会
- 2012年5月13日(日)13:00~18:30(国立民族学博物館 第3セミナー室)
- サラ・ティーズリー「グローバルデザイン史の方法論をめぐって」
- 関根康正「ローカリティの生産と変質:ロンドンの南アジア系移民のヒンドゥー寺院建設活動」
- 全員討論と打ち合わせ
- 2012年7月21日(土)13:00~18:30(国立民族学博物館 第4セミナー室)
- 野村雅一(国立民族学博物館名誉教授)「冷戦と経済成長・開発(デベロプメント):ギリシャからの展望」
- 森田良成(摂南大学非常勤講師)「映像作品『アナ・ボトル:西ティモールの町と村で生きる』をめぐって」
- 全員討論と打ち合わせ
- 2012年12月15日(土)13:00~19:00(国立民族学博物館 第5セミナー室)
- サラ・ティーズリー「日本の家具製作に見るグローバルデザインヒストリー」(仮)
- 小田亮「災害ユートピアと日常性」(仮)
- 村松彰子「仮設という暮らし」(仮)
- 総合討論と打ち合わせ
- 2013年1月13日(日)13:00~19:00(国立民族学博物館 大演習室)
- 門脇篤(門脇篤まちとアート研究所代表)「震災後のコミュニティとアート」
- 高坂健次(関西学院大学名誉教授)「個的体験事実と全体的客観事実とのパラドクス -Frustrated achiever、民工、セクシャル・マイノリティ-」
- 全員討論と打ち合わせ
2011年度
本共同研究会は、2011年度より5年間にわたって科研費の補助を受けて行われる基盤研究と併行して推し進められるものである。その科研による現地調査の各メンバーの成果、文献研究を基盤にして、共同研究会での発表と討論が重ねられていく予定である。
各メンバーは、次のようなポイントを押さえて、調査を展開しまた討議に臨むことになる。
- グローバル資本主義の日常的展開
- 国家や州などの計画や政策の日常的展開
- 庶民生活を取り囲み、成り立たせているミクロメディアからマクロメディアまでの状況
- 研究の対象となる周辺化された人々の特性を、生計のたてかたという視点から把握
- 周辺化された人々が生きる場の空間構造を経年的、動態的に把握
- 1)から5)を総合する形で、生活空間の境界のインターセクションのあり方の発見
- 6)の境界のインターセクションのあり方を要にしながら展開させるはずの、人々の共同性の紡ぎ出し方を、下からの生活空間デザインの技法として解明
共同研究会での討議において、人類学を中心にするものの、社会学、精神分析学、デザイン論などの学際的知見を交差させて多角的に議論をふくらませていくことになる。
初年度2011年度は、前回の共同研究会「ストリートの人類学」の成果の吟味と今回の共同研究会の目的をメンバーの間での共有を、まずは主眼に置いて、研究の方向性を明確化する。
| 【館内研究員】 | 岸上伸啓 |
|---|---|
| 【館外研究員】 | 朝日由美子、小田亮、北山修、Gill, Tom、鈴木晋介、近森高明、西垣有、野村雅一、丸山里美、南博文、森田良成、和崎春日 |
研究会
- 2011年10月29日(土)13:30~18:30(国立民族学博物館 第3セミナー室)
- 関根康正(関西学院大学)共同研究の趣旨説明
- トム・ギル(明治学院大学)「福島原発の被災地域をめぐって」
- 全員討論「共同研究の課題をめぐって」
- 2012年1月22日(日)13:30~18:30(国立民族学博物館 大演習室)
- 姜竣(京都精華大学)「街頭紙芝居を育んだ町(まち)と街(まち)」
- 関根康正(関西学院大学)「ストリート人類学の第二ラウンド」
- 全員討論
研究成果
本研究会の趣旨は、2011年3月11日に日本を襲った大地震を引き金にした放射能汚染社会の日常化という人類史的な歴史的転換以前から考えられてきたが、この転換を踏まえずしてまともな社会科学は思考できないことになった。人類学の役割は、周辺化された人々や地域からの眼差しの実態を、中心権力の産出するディスコースの中で、記述し、その問題に転換お方向性を示すことにある。第一回研究会では、トム・ギルによる放射能汚染の最前線に位置する飯館村での参与観察の成果の共有である。そこに、後手後手に回る国・地方行政の対応のなかでの村人個々人の声と行動が報告され、周辺化された地方の内実の複雑性が明らかにされ、議論を通じて人類学者の調査地へのコミットメントが問題点として浮き彫りになった。第二回研究会ではゲストスピーカー姜 竣により、東京・大阪などの大都市の周辺化された地域(都市内の「地方」)と街頭紙芝居の生産・流通・消費空間との関係が明示され、該当紙芝居の排除と受容の変遷が歴史的に明らかにされた。これらの事例をも踏まえて、ネオリベ経済に抗するストリート・ローカリティ・ヘテロトピアデザイン・フォークロアなどの諸概念をめぐる潜在的可能性を探求する研究会の方向性を再確認する内容が関根康正より提示された。これは「民博通信」に掲載される。







