国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

熱帯の「狩猟採集民」に関する環境史的研究――アジア・アフリカ・南アメリカの比較から

共同研究 代表者 池谷和信

研究プロジェクト一覧

キーワード

狩猟採集民、環境史、狩猟民・農耕民関係

目的

本研究は、熱帯の「狩猟採集民」を対象にして彼らの資源利用や民族間関係を環境史の視点から構築することを目的とする。申請者によると、彼らの歴史は、1.狩猟採集民の時代、2.狩猟民と農耕民との共生関係や農耕民化の時代、3.前近代・近代の国家形成の時代、4.グローバル化の時代という4時代に便宜的に区分できる。本研究では、これらの時代状況をふまえて、アジア、アフリカ、南アメリカという3大陸に暮らす「狩猟採集民」の視点からみた世界史を環境史として新たに構築することを試みる。具体的な問いは、時間軸に沿って1.狩猟採集民は、熱帯雨林や熱帯高地において自給的に暮らしていたのか、2.どういう状況下で狩猟採集民と農耕民との共生関係がみられたのか、3.前近代の国家形成(ムガール帝国と林産物、コンゴ王国と象牙など)や植民地形成にともない狩猟民はどのように対応したのか、4.沈香などの森林産物や象牙を求める中国経済の増大などグローバル化が進むなかで、狩猟民社会にどのような変化がみられたのか、などである。これら4つの個別の問題を解くことによって、これまでの都市文明中心の世界史ではなく狩猟採集民の視点からの世界史を、地球の環境史として構築することが研究会のねらいである。

2013年度

【館内研究員】 信田敏宏
【館外研究員】 伊澤紘生、稲村哲也、大石高典、大橋麻里子、小谷真吾、小野林太郎、加藤裕美、金沢謙太郎、小泉都、佐藤廉也、鮫島弘光、関野吉晴、高田明、辻貴志、鶴見英成、中井信介、那須浩郎、増野高司、松井章、松浦直毅、八塚春名、山本太郎
研究会
2013年4月27日(土)13:00~19:00(国立民族学博物館 大演習室)
池谷和信「趣旨説明」
八塚春名「生業変容をめぐる「狩猟採集民」と隣人との関係-タンザニアのサンダウェとハッツァの比較から-」
大石高典「カメルーン東南部における狩猟採集民バカと移住商業民の間の多様なインタラクションー狩猟採集民=農耕民関係との比較(仮)」
稲村哲也「ヒマラヤの狩猟民ラウテ-外部社会との関係およびその変容-」
手塚薫「アイヌの生業の再検討-農耕をどのように捉えるべきか-」
2013年4月28日(日)9:30~12:30(国立民族学博物館 大演習室)
加藤裕美「近くて遠い隣人-ボルネオのシハンにみる隣人との境界性について」
大橋麻里子「ペルーアマゾンの「狩猟採集民」と「農耕民」―氾濫原に棲むシピボと山に棲むアシャニンカの関係から―」
総合討論
2013年6月21日(金)14:00~18:30(国立民族学博物館 大演習室)
池谷和信「趣旨説明」
河合文・小谷真吾「Mobility and recognition of space: The Bateq and their use of river systems」
William Balee 「Historical ecology of Amazonia」
コメント1 大石高典
コメント2 Peter Mathews
総合討論
2013年7月21日(日)13:30~18:30(国立民族学博物館 大演習室)
「趣旨説明」
中井信介・池谷和信「ムラブリ研究の現状」
池谷和信ほか「狩猟採集民研究の最近の動向-国際狩猟採集社会会議に参加して-」
手塚薫「北方狩猟民研究の動向」
総合討論

2012年度

今年度の研究会は、2回開催する予定である。1回目は、メンバーが人類学を中心として考古学、地理学、生態学、社会学、医学などの専門家から構成されるので、研究会の目的やキー概念などの共有化に努める。そして、申請者によるわが国の研究の動向が概観されて、世界の研究と比べての違いが認識される。また、複数の異なった分野から「狩猟採集民」をどのように規定しているのか、狩猟や農耕などの活動や社会関係からみて「狩猟採集民」と農耕民ではどこが異なるのかなど理論的な問題が議論される。

2回目は、3つの大陸のなかで1つの大陸に焦点を当てる。例えば、国内でもっとも研究の遅れている南アメリカにおいて、どのような「狩猟採集民」が暮らしてきたのか、彼らと農耕民との生存基盤での違いや類似性はどのようなものであるか、両者の共生関係は存在してきたのかなど、アジアやアフリカの研究では説明できないものを見出すことをねらいとする。これによって、熱帯の狩猟採集民像の大きな転換が必要になるであろう。

【館内研究員】 信田敏宏
【館外研究員】 伊澤紘生、稲村哲也、大石高典、大橋麻里子、小谷真吾、小野林太郎、加藤裕美、金沢謙太郎、小泉都、佐藤廉也、鮫島弘光、関野吉晴、高田明、鶴見英成、中井信介、那須浩郎、服部志帆、増野高司、松井章、松浦直毅、八塚春名、山本太郎
研究会
2012年11月3日(土)13:30~18:30(国立民族学博物館 大演習室)
池谷和信「共同研究会の目的、方法、今後の計画」
*理論・生態・歴史
佐藤廉也「生業はヒトの生涯をどれだけ規定するか?」
鮫島弘光「ボルネオ熱帯林の哺乳類」
鶴見英成「北部ペルー最古の神殿遺跡群にみる経済活動の特徴」
*資源利用
高木仁「カリブ海沿岸での先住民によるウミガメ捕獲-ニカラグアにおけるミス キートの網漁の事例」
辻貴志「フィリピンにおける自然利用活動と資源利用」
小泉都「ボルネオのプナンの植物知識」「狩猟採集民が農耕を始めるときの内在 的困難―ボルネオのプナンの例」
八塚春名「タンザニアの多民族混住地域における生業と資源利用―サンダウェとハッ ツァの比較から」
*民族間関係
加藤裕美「ボルネオの狩猟採集民シハンの資源利用と民族間関係」
中井信介「タイの農耕民からみた狩猟採集民像」
大石高典「貨幣経済浸透下のカメルーン東南部における農耕民=狩猟採集民関係」
*国家・商品経済
小谷真吾「商業的狩猟採集民の可能性:マレーシア半島部オランアスリの事例から-」
金沢謙太郎「サラワクの熱帯原生林をまもる人びと-バラム河上流域の狩猟採集民 と農耕民-」
信田敏宏「サカイ、アボリジニ、オラン・アスリ--統治される森に生きる「狩猟 採集民」
服部志帆「森と人の共存への挑戦-カメルーンの熱帯雨林保護と狩猟採集民バカの 文化の両立に関する研究-」
松浦直毅「アフリカ熱帯林の狩猟採集社会の現代的変容」
2012年11月4日(日)9:30~12:30(国立民族学博物館 大演習室)
那須浩郎「農耕と環境、文明と環境に関する植物考古学研究」
山本太郎「人類、感染症、文明」
稲村哲也「熱帯高地と狩猟採集」
松井章「考古学と狩猟採集民」
コメント:那須浩郎
2012年12月9日(日)10:00~18:30(国立民族学博物館 大演習室)
池谷和信「問題提起-熱帯アメリカ低地-」
高木 仁「カリブ海沿岸での先住民によるウミガメ捕獲一ニカラグアにおけるミス キートの網漁の事例一」
コメント:池口明子-コロンビアとの比較-
山口吉彦「アマゾン川のカメと人」
伊沢紘生「アマゾンの自然と動物」
コメント1:鮫島弘光
コメント2:大石高典
関野吉晴「南アメリカ熱帯低地の自然と人」
コメント1:大橋麻里子
コメント2:佐藤廉也
総合討論