国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

贈与論再考 ―「贈与」・「交換」・「分配」に関する学際的比較研究

共同研究 代表者 岸上伸啓

研究プロジェクト一覧

キーワード

贈与、交換、分配

目的

個人間や集団間のモノや食料などのやり取りを説明する人類学理論にモースの贈与論がある。この贈与論は後に、互酬性(reciprocity)に着目したレヴィ=ストロースによって社会的交換論へと展開を見た。また、贈与論を批判的に検討したワイナーやゴドリエは「贈与できないモノ」の概念を提起した。これらの流れとは別にマリノフスキーはクラ交易によって当事者間に連帯が生み出され、社会が統合されるという一種の交換論をモース以前に提起していた。狩猟採集社会を研究する人類学者は、食料のやり取りを分配(sharing)や再分配(redistribution)、交換(exchange)などの概念で記述し、説明しようと試みてきた。さらに上記の概念に関連する説明モデルとして、サーリンズモデルなどが存在している。

本研究の目的は、アメリカやオセアニア、アジア、アフリカなど世界各地における贈与や交換、分配の民族誌事例を学際的に比較検討することによって、贈与や交換、分配などの概念と説明モデルの内容や有効性を検証することである。また、グローバル化が進む市場経済の浸透によって、各社会の贈与・交換・分配慣行がどのように変化してきたかについても検討を加えたい。

2013年度

【館内研究員】 小林繁樹、丹羽典生、藤本透子
【館外研究員】 井上敏昭、小川さやか、小田亮、風戸真理、佐川徹、立川陽仁、友野典男、中川理、中倉智徳、仁平典宏、比嘉夏子、深田淳太郎、丸山淳子、溝口大助、山極寿一、山口睦、渡辺公三 
研究会
2013年7月6日(土)13:00~18:40(国立民族学博物館 大演習室)
岸上伸啓(国立民族学博物館)「総論」
丹羽典生(国立民族学博物館)「ヴァス論再考:母方交叉イトコ婚からみた集団間関係の変容」
深田淳太郎(一橋大学)「『贈与』の数え方」(仮)
比嘉夏子(日本学術振興会・国立民族学博物館)「首長制とキリスト教の繋がり:トンガ王国における贈与実践の検討」
総合討論(全員)

2012年度

2012年度には、研究代表者による問題提起と問題点を共有するための研究会を実施した後、人類学でこれまで提起されてきた贈与論、交換論、クラ論、分配論を検討する。
第1回「総論と問題提起」 2012年10月7日開催予定
第2回「モースの贈与論とレヴィ=ストロースの交換論、マリノウスキーのクラ論、狩猟採集民研究における分配論」 2013年1月頃開催予定

【館内研究員】 小川さやか、小林繁樹、丹羽典生、藤本透子
【館外研究員】 井上敏昭、小田亮、風戸真理、佐川徹、立川陽仁、友野典男、中川理、中倉智徳、仁平典宏、比嘉夏子、深田淳太郎、丸山淳子、溝口大助、山極寿一、山口(加藤)睦、渡辺公三 
研究会
2012年10月7日(日)13:30~18:00(国立民族学博物館 大演習室)
岸上伸啓(国立民族学博物館)「趣旨説明と問題提起」
全員「検討および各自の研究紹介」
全員「今後の予定の検討」
2013年1月20日(日)13:30~18:30(国立民族学博物館 大演習室)
岸上伸啓(国立民族学博物館) 「問題提起」
小林繁樹(国立民族学博物館) 「贈物交換活動と地域社会」
深田淳太郎(一橋大学)「コメント」
溝口大助(九州大学) 「贈与論と供犠論 - 「聖なるもの」と「霊的なもの」を手がかりに」
渡辺公三(立命館大学)「コメント」
全体討論
2013年3月3日(日)13:30~18:30(国立民族学博物館 大演習室)
岸上伸啓(国立民族学博物館)「問題提起」
立川陽仁(三重大学)「クワクワカワクゥのポトラッチと贈与・分配」
井上敏昭(城西国際大学)「グィッチン社会における分配・相互扶助・贈与-資本主義国内に包含された狩猟社会における意義について」
全員「次年度の研究計画の検討」