国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

触文化に関する人類学的研究――博物館を活用した“手学問”理論の構築

共同研究 代表者 広瀬浩二郎

研究プロジェクト一覧

キーワード

触文化、手学問、ユニバーサル・ミュージアム

目的

本共同研究は、2009~11年度に実施した科学研究費プロジェクト「誰もが楽しめる博物館を創造する実践的研究-視覚障害者を対象とする体験型展示の試み」を発展的に継承し、人類学的視点から「触文化」(さわらなければわからない事実、さわって知る物の特徴)について考察することを目的としている。上記科研プロジェクトの成果としてまとめられた広瀬編『さわって楽しむ博物館-ユニバーサル・ミュージアムの可能性』(青弓社、2012年5月)は、「ユニバーサル・ミュージアム=誰もが楽しめる博物館」の入門書、実践事例集と位置づけることができる。この本の内容を敷衍する形でユニバーサル・ミュージアム、さらには21世紀の多文化共生社会の具体像を指し示すための理論構築を試みるのが本研究の狙いといえよう。これまでの人類学においては、視覚(映像)・聴覚(音響)などに比較して、触覚に注目する研究は少なかった。本研究では、博物館展示を活用した“手学問”理論を切り口として、「触文化」にアプローチする。

2013年度

【館外研究員】 石塚裕子、及川昭文、大石徹、大髙幸、小山修三、五月女賢司、鈴木康二、原礼子、藤村俊、堀江典子、真下弥生、増子正、宮本ルリ子、山本清龍
研究会
2013年7月7日(日)10:00~17:00(国立民族学博物館 第3セミナー室)
三間茂、岸田春ニ(宇治観光ボランテイアガイドクラブ)「観光・まちづくりのユニバーサルデザイン化―宇治を事例として」
山根秀宣(山根エンタープライズ株式会社)「大阪の水辺再生プロジェクトとユニバーサルデザイン」
美濃伸之(兵庫県立大学淡路景観園芸学校)「緑地・公園のユニバーサルデザイン―肢体不自由者の立場から」
小林俊樹(箱根彫刻の森美術館)「観光地箱根における教育普及活動―彫刻の森美術館での実践事例について」
篠原聰(東海大学)「観光型ミュージアムと大学との連携―キュレーターの"たまご"プロジェクトの実践に関する事例研究」
石塚裕子(大阪大学)「観光・まちづくりのユニバーサルデザイン化に向けて」(コメント1)
山本清龍(岩手大学)「観光・まちづくりのユニバーサルデザイン化に向けて」(コメント2)

2012年度

今年度は2回の研究会開催を予定している。初回(2012年11月、於民博)では、メンバーからの活動報告を元に、「ユニバーサル・ミュージアム」(誰もが楽しめる博物館)の理論を整理する。まずは個々のメンバーが本共同研究の目標と方針を確認し、「触文化」の意義を共有することが初回の重要テーマである。
第2回研究会(2013年3月、於国際基督教大学博物館)では、ミュージアムにおける触覚展示の具体例を集め、その効果と問題点を議論する。毎回の研究会では単なる研究発表のみでなく、ワークショップ的な要素も加味した実践を重視していきたい。

【館外研究員】 石塚裕子、及川昭文、大石徹、大髙幸、小山修三、五月女賢司、鈴木康二、原礼子、藤村俊、堀江典子、真下弥生、増子正、宮本ルリ子、山本清龍
研究会
2012年11月11日(日)10:00~17:00(国立民族学博物館 大演習室)
広瀬浩二郎(国立民族学博物館)「共同研究の趣旨と目標」
石塚裕子(大阪大学)「触る街並み観光の効果に関する基礎的研究」
大石徹(芦屋大学)「都市のモニュメント調査から」
堀江典子(公園管理運営研究所)「公園の博物館的機能とユニバーサルデザイン」
山本清龍(岩手大学)「野外レクリエーションの質を問う」
2013年3月2日(土)13:00~17:00(国際基督教大学博物館 湯浅八郎記念館)
原礼子(国際基督教大学)「湯浅八郎と民芸品コレクション」
堀江武史(特別講師)「文化財の修復と複製―府中工房の活動から」
2013年3月3日(日)10:00~17:00(国際基督教大学博物館 湯浅八郎記念館)
尾関育三(特別講師)「視覚障害者の大学進学―過去・現在・未来」
ファシリテーター 広瀬浩二郎(国立民族学博物館)
事例研究「高等教育のユニバーサル化を考える―ICUの事例を中心に」
コーディネーター 真下弥生(ルーテル神学大学)
半田こづえ(特別講師)「体験発表Ⅰ 1970年代の状況」
高橋玲子(特別講師)「体験発表Ⅱ 1980~1990年代の状況」
安原理恵(特別講師)「体験発表Ⅲ 1990~2000年代の状況」
討論・質疑応答
増子正(青森県立盲学校)「総括 インクルーシブ教育の未来を展望する」