アジア・オセアニアにおける海域ネットワーク社会の人類史的研究――資源利用と物質文化の時空間比較
キーワード
海域ネットワーク、資源利用、物質文化
目的
アフリカ大陸で誕生した現生人類は、約5万年前頃までにはアジアやオセアニアの島嶼海域に移住・拡散した。島嶼海域に進出した人類は、自然資源や加工生産物を交換するために海を渡る移動を繰り返し、その過程で広範囲に及ぶネットワークを形成してきた。アジア・オセアニアには、そうした海域ネットワークを生活基盤とする社会が各地にみられる。
本研究の目的は、この海域ネットワーク社会の普遍性と地域性を、物質文化と資源利用の様式ならびにその分布に関する時間と空間双方の面での比較を通じて、人類史的な視点から検討することにある。このうち時間面では、5万年程度の幅の考古学的時間(ただし約4000年前の新石器時代以降に主眼をおく)と約100年程度の幅の民族誌的時間を、空間面では、日本を含む東アジア、東南アジア、オセアニアの海域を、それぞれ比較の準拠枠とする。本研究では、考古学と文化人類学を主とする分野横断的な研究メンバーが、時間・空間軸に従いながら比較検討を行うことにより、アジア・オセアニアにおける人類の海洋生態への適応過程に関する時代別・地域別のモデル構築に挑戦し、さらにこれらの成果を相互比較することで、『海域ネットワーク社会の人類史』(仮題)をまとめることを目的としている。
2013年度
| 【館内研究員】 | 印東道子、飯田卓 |
|---|---|
| 【館外研究員】 | 赤嶺淳、秋道智彌、片桐千亜紀、島袋綾野、鈴木佑記、田中和彦、長津一史、橋村修、山形眞理子、山口徹 |
研究会
- 2013年7月20日(土)12:30~19:00(国立民族学博物館 第4演習室)
- 小野林太郎「テーマの趣旨と発表者の紹介」
- 秋道智彌「海のエスノ・ネットワーク論:南と北の海から」
- 辻貴志「フィリピン・パラワン島の生業活動、資源利用、民族間関係」(特別講師)
- 常設展のオセアニア展示を実見しながら人類による海の利用とネットワークについて討議
- 鈴木佑記「ナマコで歩く:海民モーケンの来し方行く末」
- 総合討論
2012年度
2012年度には、まず本研究の趣旨と基本的な比較の枠組み、ならびに日本を含む東アジア、東南アジア、オセアニアの海域を対象とした研究の現状や概容の確認を目的とする研究会を2回おこなう。第一回目は11月に開催を予定しており、本共同研究の目的と方向性、各メンバーの発表内容等を検討するほか、下記の表を踏まえ、対象とする各地域の研究事例を報告し、さらなる議論を行う計画である。第二回目は2013年2月前後に予定しており、参加メンバーによる事例報告を踏まえ、さらなる議論・検討を予定している。
基本的な方向性としては、まず各メンバーが、下記表の位置づけに従い、物質文化ないし資源利用の様式・分布からみた海域ネットワーク社会の生成・再編(e.g. たとえば「東アジアの物質文化・考古学的時間」)について事例報告または問題提起をおこない、参加者からコメントを受ける。そのうえで研究組織全体が海域ネットワーク社会の地域間の異同について共同討議を行う。主に検討を予定しているトピックは、物質文化については漁具(漁法)、船と船具、農具や加工具、調理具、副葬品、装飾品を巡る移動や海を越えての広がり、資源利用については海産資源、動物資源、森林資源といった自然資源の利用と海を越えての交換や交易などを検討している。
| 東アジア | 東南アジア | オセアニア | |
| 物質文化 | 考古学的時間 | 考古学的時間 | 考古学的時間 |
| 民族誌的時間 | 民族誌的時間 | 民族誌的時間 | |
|
資源利用 (自然資源の利用と交換・交易) |
考古学的時間 | 考古学的時間 | 考古学的時間 |
| 民族誌的時間 | 民族誌的時間 | 民族誌的時間 |
| 【館内研究員】 | 印東道子、飯田卓 |
|---|---|
| 【館外研究員】 | 赤嶺淳、秋道智彌、片桐千亜紀、島袋綾野、鈴木佑記、田中和彦、長津一史、橋村修、山形眞理子、山口徹 |
研究会
- 2012年11月11日(日)13:00~18:30(国立民族学博物館 第4演習室)
- 小野林太郎「共同研究会の目的、方法、今後の計画、メンバー紹介」
- 長津一史「東南アジア海域研究が拓く可能性――海民論と境域論を手がかりに」
- 総合討論
- 2012年11月12日(月)10:00~12:30(国立民族学博物館 第4演習室)
- 小野林太郎「東南アジア海域からオセアニア海域世界の海民とネットワーク社会:先史時代における事例の検討」
- 総合討論
- 2013年1月29日(火)10:00~18:00(国立民族学博物館 第4演習室)
- 小野林太郎「第二回テーマの趣旨と発表者の紹介」
- 片桐千亜紀「沖縄諸島における更新世~完新世期の人類史と資源利用」
- 田中和彦「フィリピン諸島における更新世~完新世期の人類史と資源利用」
- 山口徹「オセアニアにおけるサンゴ礁の発達と人類の資源利用史」
- 総合討論







