国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

テクノロジー利用を伴う身体技法に関する学際的研究

研究期間:2016.10-2019.3 代表者 平田晶子

研究プロジェクト一覧

キーワード

身体技法、科学技術、相互行為

目的

ICT(Information and Communication Technology)の活用が我々の生活のさまざまな側面に浸透し、直接対面的なコミュニケーションが減少している現代社会において、今改めて身体的相互行為の価値が問われている。本共同研究では、身体技法の伝承・表象・実践にテクノロジー(ここではコンピューター技術の活用を意識したICTを指す)やデジタル技術の導入が、人の記憶やイメージにどのような作用を及ぼし、それにより身体技法がいかに変化し再構築されているか、地域ごとの事例に基づいて比較検討を行う。
身体化することが求められる技芸や知識等は、従来、口伝や観察に基づき自得されてきたが、近年ではデジタル技術の発展に伴い技芸をデータ化する傾向が顕著である。それによりメディアやネットなどを通じてより拡大された社会関係のなかで身体技法の共有が可能になっている。しかし、身体技法の伝承の過程で導入されているデジタル技術の役割についてはこれまで十分な検討が為されてこなかった。事実、人間の動作、発声、表情、体温などを可視化・言語化・定量化できるが、間や旋律、リズムなどの身体知は、科学的に測りきれない。そこで身体技法の伝承におけるテクノロジー利用の役割に着目した本研究は、身体論や相互行為をめぐる議論、さらにはコミュニケーション論に関する理論的貢献を目指す。

2017年度

第3回研究会(2017年7月22、23日開催予定)では、「映像化される身体技法の伝承とコミュニケーション」と題し、メディア技術論と芸能研究で先駆的な研究を積み上げられてきた研究者2名を特別講師として招聘する(1日目 / 2日間)。また、本共同研究メンバーによる報告を実施し、身体技法の習得、伝授、継承・保存で活用される科学技術と身体の関係について議論する。また、中間成果報告として計画中である関連学会(「日本文化人類学会」等)または国立民族学博物館での研究成果公開研究会開催に向けた議論の方向性についても意見交換を行う(2日目 / 2日間)。
第4回研究会(2017年11月25、26日開催予定)では、「動きを可視化するモノの装着と人間の身体」と題し、第2回と同様にデジタル技術と人間の暮らしに関する研究に従事する研究者を招聘する(1日目 / 2日間)。ここでは、芸能、スポーツの教育・継承現場や福祉・労働の作業場で、いかにテクノロジーが活用されるのか、また測量の可能性と限界について事例に基づき議論を進める(2日目 / 2日間)。

【館内研究員】 広瀬浩二郎
【館外研究員】 伊藤悟、岩瀬裕子、阪田真己子、谷岡優子、日比野愛子、柳沢英輔、吉川侑輝
研究会
2017年7月22日(土)14:30~18:00(国立民族学博物館 第6セミナー室)
話題提供①平田晶子(京都文教大学)「デジタル技術の導入に伴う身体技法の変容」
話題提供②柳澤英輔(同志社大学)「映像・音響メディアを活用した音文化研究 ――ベトナム中部高原ゴング文化を事例に」
話題提供③谷岡優子(関西学院大学)「地方花柳界の再活性化にみる身体伝承」
討論、質疑応答
2017年7月23日(日)10:00~16:30(国立民族学博物館 第6セミナー室)
特別講師①倉島哲(関西学院大学)「社会学と身体技法の動向について」
質疑応答
特別講師②遊貴まひろ(プリッシマ)「“演じる”行為からみる身体と感情の相関」
質疑応答
2017年11月25日(土)14:00~18:00(国立民族学博物館 第4セミナー室)
特別講師①小川さやか(立命館大学大学院先端総合学術研究科)「オートエスノグラフィに溢れる根拠なき世界の可能性――SNSに伸張したフィールドとアナキズム」
話題提供②市野澤潤平(宮城女子学院大学現代ビジネス学部)「観光ダイビングとテクノロジー」
総合討論
2017年11月26日(日)10:00~16:00(国立民族学博物館 第4セミナー室)
話題提供①阪田真己子(同志社大学)「日本舞踊において「型」はどのように体現され
話題提供②岩瀬裕子(首都大学東京)「共有する身体における「技術」と「技能」――スペイン・カタルーニャ州の人間の塔を事例に―」
総合討論

2016年度

本共同研究では、東南アジア、東アジア、オセアニア、欧州といった多様な地域からの舞踊、芸能、詠唱、手まね、劇、ダンス、スポーツなど幅広いジャンルの事例を持ち寄り、研究会を実施する。
◇平成28年度
第1回研究会では、代表者を中心に身体技法に関わる主要な理論を整理し、問題意識を共有する。その後、各メンバーが現在の関心や共同研究に貢献できる研究テーマを15分間ずつ報告しながら、共著論文集の執筆に向けて各自が担当する論考のタイトルを発表する。
※東京・京都から特別講師2名を招集する。

【館内研究員】 広瀬浩二郎
【館外研究員】 伊藤悟、岩瀬裕子、宇津木安来、久保明教、CAITLIN COKER、紺屋あかり、柴田香奈子、谷岡優子、柳沢英輔
研究会
2016年11月26日(土)14:30~18:00(国立民族学博物館 第5セミナー室)
平田晶子 共同研究の趣旨説明および出張報告書記載の件など共有
参加者の自己紹介および共同研究内での役割や問題意識を発表
2016年11月27日(日)10:00~16:30(国立民族学博物館 第5セミナー室)
特別講師(1)八村広三郎(立命館大学)「無形文化財のデジタルアーカイブ」
質疑応答
特別講師(2)阪田真己子(同志社大学)「オモシロイを科学する―いかにして現象をハカルか―」
質疑応答
全体討議
次回に向けて他
2017年2月12日(日)14:30~18:00(国立民族学博物館 第4セミナー室)
問題意識の共有
広瀬浩二郎(国立民族学博物館) 自己紹介の続き
特別講師(1)吉川侑輝(慶応義塾大学大学院)「音作りのエスノグラフィ――楽器と人間のコミュニケーション」
質疑応答
特別講師(2)阪田真己子(同志社大学)「ハカれるものとハカれないもの―日本舞踊界の事例から」
Mind Map作成(30分)、発表会(30分)
総合討論、次回に向けて