国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

グローバル化時代における「観光化/脱-観光化」のダイナミズムに関する研究

研究期間:2019.10-2022.3 代表者 東賢太朗

研究プロジェクト一覧

キーワード

観光、脱-観光化、グローバル化

目的

本研究は、多様化し拡大する観光現象を文化人類学的に捉え、新たな理論的転回を図ることを目的とする。
1980年代以降、文化人類学は観光という現象に着目するようになった。しかし、観光社会学ではJ.アーリやS. ラッシュらのグローバル論と関連付けながら新たな理論的展開を遂げたのに対し、人類学内部ではその現状をうまく捉えきれず、2000年代以降、観光研究は停滞しつつある。
そして現在、観光の形態はさらに多様化している。それは戦争など負の歴史を次世代へと伝え(ダークツーリズム)、移住を検討させ(移住観光)、自然と人間の共存を教育し(エコツーリズム)、アニメ作品などのファンと交流を図り(コンテンツツーリズム)、衰退した地域社会を再興させるものである(地域文化観光)。つまりこれまでまったく別々の文化現象だったものが、「観光」という文脈に包含されつつあるといえる。
他方、これまで観光の文脈で語られてきたものが、環境破壊や地域住民と観光客とのコンフリクトの増加などにより、制限され、文脈をずらされるという現象も起きている。 本研究ではこれらの過程を「観光化」「脱-観光化」と概念化し、考察を深める。具体的には、①国内外の諸事例がいかにして「観光」の文脈に包含され/「観光」の文脈からずらされていったのか、その詳細を実証的に検討し、②グローバル化の議論を批判的に参照しつつ、人類学全体を見据えた新たな視座の構築を目指す。

2019年度

本研究は、9人のメンバーによる個別事例の検討と、それを踏まえた理論構築を目指す。総論と各論は常にフィードバックできるよう、各自のメンバーは双方を念頭に置いた研究を行い、全体としての統一感を保持できるようにする。
初年度は、研究会全体の方向性を確認する。とくに「観光化/脱-観光化」という概念について議論を深める。また学会での分科会、出版、シンポジウム等の実現可能性についても話し合う。

【館内研究員】 奈良雅史
【館外研究員】 岡本健、越智郁乃、紺屋あかり、鈴木佑記、中村香子、福井栄二郎、藤野陽平
研究会
2019年12月14日(土)13:30~18:00(国立民族学博物館 第1演習室)
東賢太朗(名古屋大学)「共同研究の概要と枠組みに関するプレゼン」
全員「各メンバーの研究紹介と共同研究会での役割」
2019年12月15日(日)10:00~12:00(国立民族学博物館 第1演習室)
全員「今後のスケジュールと進め方、特別講師招聘について」