国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

特別研究

特別研究は、「現代文明と人類の未来―環境・文化・人間」を統一テーマに、現代文明が直面する喫緊の諸課題に対して解決志向型のアプローチによる国際共同研究です。
近現代のヨーロッパに発する科学・技術、政治・経済制度、社会組織、思想などからなる西欧文明は、世界の多くの国と地域に影響を与えてきました。また、科学・技術の発展は、人類の生活と社会を豊かにすると信じられてきました。しかしながら、人口増加、環境破壊、戦争、資源枯渇、水不足、大気汚染など、大きな負の代償を人類社会にもたらしてもいるともいえます。とりわけ環境問題と人口増加は、人類の生存上、解決を要する大きな課題として、前者は生活空間、食料資源、生物の多様性から戦争、公害、地球温暖化、災害など、人間生活のあらゆる面に影響を及ぼしています。後者は、2060年には100億人を超え、2100年には地球の人口支持力(環境収容力)120億人に近づく一方で、先進国の中には少子高齢化が進み、家族や人間集団の維持・存続に多くの問題をもたらしています。
文明に対応してきた現地社会の「知」から現代文明を問い直すために、特別研究を現代の人類社会が直面する諸課題の分析と解決を志向する研究として位置づけます。環境や人口をめぐる地球規模の変動に直接的・間接的に起因する対立軸となる文化現象を設定し、グローバル空間・地域空間・社会空間が構成する多層的生活空間における現代的問題系としてアプローチすることで、旧来の(伝統的な)価値から、いかに多元的価値の共存を保障する社会を創成することができるかを解明し、人類社会にとって選択可能な問題解決を志向する未来ビジョンを提出することをめざします。

生物・文化的多様性の歴史生態学―稀少動物・稀少植物の利用と保護を中心に―(2016.7-2019.3)

代表者:池谷和信・岸上伸啓