国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

ケニア共和国の海村における漁場の成り立ちと利用に関する研究(2017-2018)

科学研究費助成事業による研究プロジェクト|特別研究員奨励費 代表者 田村卓也

研究プロジェクト一覧

目的・内容

本研究では、ケニア共和国沿岸南部の海村でおこなわれている小規模漁撈を事例として、漁撈における活動の場である漁場の成り立ちと、その利用について検討をおこなう。期待に基づきながらおこなわれる活動において、人びとは周囲の自然環境のなかに、どのように活動の場を生み出して利用していくのかを、場所という概念に注目しながら考察することが目的である。
本研究では、具体的な漁撈活動の記述とともに、漁業者の自然環境認識、個人の漁撈経験に関する聞き取りなどをおこなう。多角的な視点から漁場の利用についての考察をおこなうとともに、漁業者の経済的資本や漁法、経験などの多様性を踏まえた分析を進めることにより、生成的な側面に注目しながら活動の場の成り立ちについての検討を進める。

活動内容

◆ 2018年4月より転入

2018年度活動計画

本年度前半は、本研究の主たる調査地であるケニア共和国沿岸南部のワシニ村において現地調査を実施し、データの収集を継続する。昨年度の調査では、村でおこなわれている漁撈活動の概況把握と、村の主たる漁法のひとつであるかご漁についての参与観察を実施し、漁撈活動の具体的な様子についての把握を進めた。しかしながら、漁業者たちの自然環境認識や、漁業者それぞれの漁撈経験などに関する聞き取りについては必ずしも十分におこなうことができなかった。そのため、本年度はこれらについてのデータ収集に重点を置いた調査を実施する。また、調査地における漁撈活動および漁場利用の特性を明らかにするため、ケニア沿岸北部のラム周辺、タンザニアのザンジバル諸島、タンザニア沿岸南部のキルワ周辺などで短期間の現地調査を実施し、各地における漁撈活動の概況や漁場利用の現状についての把握をおこなう。
本年度後半には、調査で得られたデータの整理を進めると同時に、論文や学会発表を通して研究成果の公開を積極的におこなう予定である。