国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

熱帯高地の世界(2018)

科学研究費補助金による研究プロジェクト|研究成果公開促進費(学術図書) 代表者 山本紀夫

研究プロジェクト一覧

目的・内容

本刊行物は、平成23~27年度基盤研究(A)「熱帯高地における環境開発の地域間比較研究―「高地文明」の発見にむけて」(研究代表者・山本紀夫)の成果報告書である。アンデスとヒマラヤの比較研究から始まった本研究代表者の共同研究は、8名の共同研究者とともに、チベット、エチオピア高地、中米高地等の世界中の熱帯高地に大きく展開、その成果を本刊行物において深化・発展させようとするものである。とくに、本研究代表者の50年におよぶ研究のなかで提唱するにいたった「高地文明」の仮説を検証・確立することも大きな目的とする。本報告は、世界の主要な熱帯高地における環境開発の特色を生態、地理、歴史、民族などの点から明らかにしようとするものであり、熱帯高地に焦点をあてた本書は、日本はもちろん、世界的に見ても初めての著書となる。執筆者は、いずれも中米高地、アンデス高地、チベット・ヒマラヤ高地、エチオピア高地で長年にわたり、調査研究をしてきた研究者であり、熱帯高地に関する研究ではこれ以上の執筆陣はのぞめない。本書が対象とする熱帯高地は、熱帯のなかでは最も人口が多い地域であるが、地理的に隔絶されたところが多く、これまで一般社会においても研究の点においても等閑視されてきた。そのような状況のなかで、本書の刊行は画期的なことである。