熱帯高地における環境開発の地域間比較研究―「高地文明」の発見に向けて(2011-2015)
目的・内容
熱帯高地は、これまで辺境とみなされ、ほとんど注目されなかった地域であるが、そこは古くから多数の人口を擁し、高度な文明も成立、発達した可能性が大きい。また、近年はアンデスやチベットなどの高地において急激に人口が膨張し、環境改変の動きが加速するとともに、環境破壊の問題も深刻になっている。本研究の目的は、このような熱帯高地に焦点をあて、そこでの環境と人間との相互関係を環境開発および地域間比較の視点から究明することである。さらに、研究代表者が40年あまりに及ぶフィールドワークをもとに提唱するに至った「高地文明」の仮説を検証確立することも大きな目的とする。これらの目的を達成することにより、熱帯高地における環境と人間の関係、とくに環境を改変し文明を成立させるに至った人類史の基本的枠組みが明らかとなる。さらに、高地の環境は一般に脆弱で土壌が貧弱であり、いったん破壊すれば回復がきわめて困難な環境であるため、そこでの環境開発の特色の究明は地球環境問題の解決にも資することになる。
活動内容
2012年度実施計画
前年度の予備調査にもとづき、山本・大山・藤倉が2ケ月間中米高地(メキシコ・グアテマラ)でアンデス高地との環境開発に関する比較調査を行なう。ヒマラヤ・チベットでは、同地域を対象として長年調査をしてきた研究分担者の月原・平田・本江,そして山本が雲南からチベット、ネパール・ブータンなどのヒマラヤを2ケ月間かけて広く踏査して熱帯高地の範囲を確定,環境開発の特色およびチベット文明などとの関係についての調査を実施する。アフリカでは、エチオピアを中心とする熱帯高地で重田・池谷・大山が先住民による環境開発に関する文化人類学的調査を1ケ月間行なう。調査地への経路は、アンデスへはロサンゼルス経由リマ着、リマからは陸路、中米へは空路でメキシコ着、そこからは陸路、東アフリカへは、ドバイ経由アジスアベバ着、そこからは陸路である。
2011年度実施計画
5年計画の初年度なので、まずは熱帯高地の地域概念の把握に努める。そのため、本年は大半のメンバーの参加のもとに東アフリカで広域調査を実施する。具体的には、熱帯高地の視点からの研究がきわめて乏しい東アフリカにおいて、研究代表者の山本を初め、研究分担者の池谷・大山・本江、さらに連携研究者の重田・稲村・川本が約1ケ月間、エチオピア、ケニア、ウガンダ、タンザニアなどの東アフリカ高地を広く踏査し、アフリカにおける熱帯高地の範囲を確定する。一方で、研究代表者の山本は、調査の乏しい北部アンデスおよび南部アンデスで約1ケ月間、地形・植生・気候・農耕などの広域調査を実施、次年度以降の本調査に向けての予備調査を行なう。これらの調査と並行して研究分担者の大山、連携研究者の稲村・川本がドメスティケーションの民族生物学的調査を中央アンデス(とくにペルー)で行なう。なお、調査開始と1年目の調査終了の時点で、民博において研究集会をひらき、調査方針および次年度以降の調査に向けての計画を検討する予定である。







