国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

南日本・東南アジアの野生サトイモの民族植物学的・遺伝子学的緊急研究(2011-2013)

科学研究費補助金による研究プロジェクト|基盤研究(B) 代表者 ピーター J. マシウス

研究プロジェクト一覧

目的・内容

南日本、東南アジアにおける野生サトイモ(Colocasia esuculenta)の民族植物学的調査(現地におけるサトイモノ歴史・用途・管理)を行う。遺伝子比較により、南日本(琉球列島)の野生サトイモの起源を同定する。植物の自然史・文化史、琉球列島におけるヒトの定住と生活の歴史、必要とされる野生サトイモ個体群の保全といった観点から、得られた成果を解釈する。

活動内容

2012年度実施計画

前年度の基礎的調査の成果を利用し、ヴェトナムとフィリピンにおいて、さらなる野外調査を行う。ヴェトナムにおいては、3回の調査を計画している(8月、9月、2月)。Ba Vi, Sapa, Hu lien周辺での詳細な調査及び生態の観察、北部山岳地帯での探索、これまでに調査を実施していなかった中央部での海岸から内陸への調査を行う。フィリピンにおいては3回の調査を計画している(7月、11月、12月)。ルソン島北部での野生サトイモ(C. formosanaとC. esculenta)の分布調査、フィリピン中央部の湿地帯(Bicol、Palawanなど)、フィリピン南部の湿地帯(ミンダナオ島北東部)での調査を行う。

これまでに得られた情報を発表し、交換し、討論するための会合を持つ。

2011年度活動報告

南日本、東南アジアにおける野生サトイモ(Colocasia esuculenta)の民族植物学的調査(現地におけるサトイモの歴史・用途・管理について)を、沖縄(5月)・奄美大島と徳之島(9月)・ヴェトナム(10月)・フィリピン(11月)で行った。それぞれにおいて、遺伝子学的調査に必要となるサンプルの収集も行った。

  • ルソン島(フィリピン)での調査からは充分なデータが得られ、論文出版の準備段階に入った。
  • フィリピン・ヴェトナム・琉球諸島での野外調査で得られたサンプルの分析方法に関して討議中である。
  • ヴェトナムでの調査から、広範に分布する野生サトイモ(C. esculenta)の存在を確認できたが、さらなる調査が不可欠である。
  • 琉球諸島における野生サトイモの分布は散在的なものであったが、いくつかの地域では豊富に存在していた。日本における野生サトイモの広がりに関する歴史的な解釈のためには遺伝子の解析が必要である。