国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

世界の中のアフリカ史の再構築(2012-2015)

科学研究費補助金による研究プロジェクト|基盤研究(A) 代表者 竹沢尚一郎

研究プロジェクト一覧

目的・内容

本研究の目的は、経済、政治、交易、宗教、生態、考古などの諸分野を専門とし、地域的にもアフリカ全土をカバーする研究者の結集により、『アフリカの歴史』全5巻を完成させることにある。

歴史研究は当該の諸社会の深い理解のための前提条件であるが、わが国のアフリカ史研究は立ち遅れた状況にある。そのため、上記の目的の達成のためには、多数の研究者による長期にわたる共同研究が不可欠である。

本研究はこうした観点から構想されたものであり、本研究が実現されたなら、アフリカ史研究はもちろん、文化人類学、地域研究、国際関係論、政治学、開発研究などの諸分野の一層の発展のために多大な貢献をなすとともに、とりわけ文化人類学的なアフリカ研究をさらに発展させるための基礎的資料となるはずである。

活動内容

2012年度実施計画

本研究の最終目的である『アフリカの歴史』全5巻を世界的に評価される水準にするには、(1)斬新な問題意識の構築と、(2)未公刊史料の開拓、および(3)世界各国の研究者との緊密な連携が不可欠である。

本年度は、まず本研究に参加する研究者全員が参加する研究会を組織して、徹底した討議を通じて(1)の斬新な問題意識の構築をめざす。その後、(2)の未交換資料の開拓のために、各研究者が現地に赴いて研究を進める。具体的には、アフリカ各国での考古学の発掘調査の実施やその最新の知見の吸収、各地域の資料館や文書館での一次史料の入手、口頭伝承の収集とその分析につとめる。さらに、(3)の世界的な研究ネットワークの拡充に関して、各自がこれまでに築いたネットワークの連携を強化する。

本研究はアフリカ全土をカバーし、なおかつ通時的にも、歴史の始まりから現代までをカバーするものであるため、以下の分担を行う。
○ 地域別分担
北アフリカ担当=大稔哲也、高宮いずみ(連携研究者)。東アフリカ担当=鈴木英明、松田素二(連携研究者)、富永智津子(研究協力者)。西アフリカ担当=竹沢尚一郎、坂井信三。中部アフリカ担当=杉村和彦、武内進一(連携研究者)。南部アフリカ担当=北川勝彦。
○ 分野別分担
政治史=松田素二、武内進一。経済史=北川勝彦、富永智津子、武内進一。対外交易史=竹沢尚一郎、大稔哲也、富永智津子。生態史=杉村和彦。農耕史=杉村和彦、竹沢尚一郎。オーラルヒストリー=坂井信三、松田素二。ジェンダー史=富永智津子。考古学=竹沢尚一郎、鈴木英明、高宮いずみ。

テーマ的には、以下の課題を念頭に置きながら、各研究者が研究を遂行する。i.新たな歴史資料の発掘(考古学、碑文、旅行記、行政文書、植民地資料、口述記録等)。ii.アフリカ史記述のための単位の設定。iii.世界の中のアフリカ史記述の実現(中東、ヨーロッパ、南北アメリカ、アジアとの関係)。iv.オーラルヒストリーを歴史記述に採用するための手続きの明確化。v.環境変化と社会経済システムの変容の関係を重視。vi.アフリカ史研究の意義の明確化(世界史・人類史の視点からの明確化)。

本年度は、このうちとりわけi、ii、iiiに重点を置いて、研究を進める。