国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

生理用品の流入による女性の身体観の変容:パプアニューギニアの事例から(2012-2013)

科学研究費補助金による研究プロジェクト|研究活動スタート支援 代表者 新本万里子

研究プロジェクト一覧

目的・内容

本研究は、モノの受容・流通が起こす身体観の変容を、ジェンダーの視点から文化人類学的に考察する。具体的には、メラネシアにおける生理用品(ナプキンなど西洋起源の道具)の受容を事例に、月経にまつわる慣行や、その使用による身体観の変容を明らかにすることを目的としている。月経と出産などの生理的現象を忌避する社会は広く世界各地にみられ、死の不浄などとともに、文化人類学においては「ケガレ」として理論化されてきた。申請者は、先行研究を踏まえたうえで、メラネシアにおける身体観の変容を、女性たちの生理用品受け入れの経験という次元で考察するために、月経の禁忌が発達したパプアニューギニアの村落を調査地として取り上げ研究を進めていく。

活動内容

2012年度実施計画
  1. 「史資料の収集・分析」国立歴史民俗学博物館とパプアニューギニア国立博物館において、月経処置に関する道具の展示品の熟覧を通じて、データ収集の項目について準備作業を進める。パプアニューギニア国立古文書館、パプアニューギニア大学、国立調査研究所にて、植民地時代のパトロール・リポート、パプアニューギニア政府刊行の医療と学校教育に関する各種レポート、国会議事録、東セピック州政府の議事録などの収集・閲覧を行う。また、調査村の位置するマプリック地区評議委員会、マプリック医療調査研究所、マプリック病院、マプリック地区で活動しているNGO(East Sepik Council of Women)、小・中学校、カトリック教会などにも歴史に関する聞き取りを行い、可能な範囲での資料の収集・閲覧を行う。
  2. 「パプアニューギニア国東セピック州マプリック地区ニャミクム村における予備調査」次年度の本格的調査にむけて、調査ヴィザの取得とマプリック地区ニャミクム村での短期調査を行う。同時に、調査計画と調査項目の詳細について見直しを行う。
  3. 「研究成果の公表」日本オセアニア学会、生態人類学会等で研究発表するほか、『国立民族学博物館研究報告』などへ論文の投稿を予定している。
2013年度実施計画
  1. 「パプアニューギニア国東セピック州マプリック地区ニャミクム村でのフィールドワーク」(1)月経処置の道具(仏炎苞・布・生理用品など)についての収集と計測、聞き取りを行う。(2)現存している高床式の月経小屋について、村落内での配置と数を記録し、計測を行う。また、月経小屋のなかでの姿勢、過ごし方についてを聞き取りを行う。(3)使用後の月経処置の道具の処分についての聞き取りを行う。(4)生理用品と身体観の関係についての調査を行う。
  2. 「史資料・統計資料に関する補足調査」フィールドワークを通じて、史資料と統計資料の調査の不備を確認する。そして再度、収集が必要な資料については、パプアニューギニア国立古文書館を中心に調査を行う。
  3. 「研究成果の公表」日本文化人類学会、日本オセアニア学会、生態人類学会で口頭発表を予定している。『文化人類学』『国立民族学博物館研究報告』のほか、『Journal of Material Culture』へ論文の投稿を行う。