国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

現代沖縄の高等教育機関における琉球芸能の継承と創生に関する研究(2012-2013)

科学研究費補助金による研究プロジェクト|研究活動スタート支援 代表者 呉屋淳子

研究プロジェクト一覧

目的・内容

本研究は、高等教育機関に設けられた伝統芸能の教授形態に注目し、伝統芸能が創生されるメカニズムを明らかにすることを目的とする。
現代沖縄の若手芸能実演家たちは、徒弟制の中で芸能を身につけることに加え、高等教育機関でも琉球芸能を修練し、実践的活動を展開している。こうした新しい教授基盤の登場は、従来にはなかった「流派」を越えた美意識とパフォーマンスを身につけた新しい琉球芸能の担い手を創出し、琉球芸能の発展と創造に繋がっている。
そこで、若手芸能実演家からの聞き取り、高等教育機関で目指される〈教授システム〉、行政文書の 分析から高等教育機関で「琉球芸能」が創生される様相、「伝統」と「創造」のはざまで揺れ動く彼らの琉球芸能の継承をめぐる取り組みと実践の再帰的関係を考察する。これらを通して公的な教育機関で伝統芸能を「教育するという行為が及ぼす影響を明らかにする。

活動内容

2012年度実施計画

平成24年10月~平成25年3月

1 沖縄県立芸術大学と琉球芸能に係わる三線・舞踊研究所に関する調査
沖芸の琉球芸能専攻の創設背景や現在の状況を把握する文書、カリキュラムに関する資料を収集・分析をしながら、実際の講義を参与観察し、同時に聞き取り調査を行う。その際、沖芸とリンクする関係資料も収集し、教授側と学習側の双方に焦点を当てて検討を行なう。また、沖芸に在籍または修了した若手芸能実演家らが属する研究所の設立経緯やその背景、流派、継承活動の実施状況の分析調査を行う。

2 国立劇場おきなわと沖縄県の文化行政の文化政策およびに関する調査
国立劇場おきなわと沖縄県の文化振興課が取組んでいる文化振興策に関する資料を整理・分析する。また、国立劇場おきなわが実施している伝統芸能伝承者育成事業についても聞き取り・参与観察を行う。公演企画・内容に関する資料の分析の際は、国立劇場おきなわの企画に携わっている調査課の職員との協力を得て行う。

3 アーカイブ調査
沖芸関連の文書資料や国立劇場おきなわの事業等が実施している文化行政に関する文書資料を収集する。とりわけ、沖縄県や国立劇場おきなわが主体となる舞台公演は、県外や海外の芸能集団との交流公演企画を年々増加させている。こうした県外、海外に向けて沖縄の伝統芸能が舞台化するプロセスについて舞台公演に関する文書資料を収集し、公演の目的や内容を分析する。