国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

動的共創型デジタルアーカイブズ構築―梅棹忠夫資料に基づいて(2013-2014)

科学研究費補助金による研究プロジェクト|挑戦的萌芽研究 代表者 久保正敏

研究プロジェクト一覧

目的・内容

国立民族学博物館(以下、民博)初代館長・梅棹忠夫が残した膨大な資料は、フィールドワーク途上の諸記録だけでなく、生涯にわたる知的生産活動に関わり、幅広い地域と分野をカバーした世界に誇る文化資源である。2011年度来、民博ではこの「梅棹忠夫資料」の整理保存を開始し、目録情報のデータ入力と解析を進めている。
本研究では、入力されたデータに基づき、多分野研究者がそこで見出し記述した資料間の関係性を共有し、動的に共同で知を創出できる共創型デジタルアーカイブズ・システムを構築する。これを多分野研究者が共有することで、民族学史・調査探検史等の解明を共同で進めることが期待できるとともに、他機関でも研究者の残したアーカイブズ資料のデジタル化を進める際のモデルとなることが期待できる。

活動内容

2014年度活動報告

国立民族学博物館(以下、民博)初代館長・梅棹忠夫が残した膨大な資料は、フィールドワーク途上の諸記録だけでなく、生涯にわたる知的生産活動に関わり、幅広い地域と分野をカバーした世界に誇る文化資源である。2011 年度来、民博ではこの「梅棹忠夫資料」の整理保存を開始し、目録情報のデータ入力と解析を進めている。
本研究では、入力されたデータに基づき、多分野研究者がそこで見出し記述した資料間の関係性を共有し、動的に共同で知を創出できる共創型デジタルアーカイブズ・システムを構築する。これを多分野研究者が共有することで、民族学史・調査探検史等の解明を共同で進めることが期待できるとともに、他機関でも研究者の残したアーカイブズ資料のデジタル化を進める際のモデルとなることが期待できる。
梅棹忠夫アーカイブズの各種資料に関する基本的目録情報、画像データについては、既に相当量が蓄積されつつある。これらに基づき、資料のカテゴリー別整理基本方針の策定及び内容索引付与について、連携研究者らと検討を重ねた。その結果、既に刊行されている『梅棹忠夫著作集 年譜・総索引』の索引が、関連するテーマの専門家によって作成されていることに鑑み、当初から計画している「時間値・空間値・主題値(キーワード)群」三つ組によるアーカイブズ内容索引のうちの主題値に著作集の索引全点を付加すること、かつ、この索引を梅棹忠夫アーカイブズ資料間の相互リンク形成に活用することを立案した。また、時間値、空間値の標準フォーマットとして、時間値については全てのイベントを時間幅を持ったものと見なし、開始日時と収量日時をともにユリスス通日で表現すること、空間値については、該当地域の中心地、および全体を覆う長方形区域の緯度経度によって表現すること、をそれぞれ立案した。

2013年度活動報告

膨大な梅棹忠夫資料のカテゴリー別整理基本方針の策定及び内容索引について検討し、まず「時間値・空間値・主題値(キーワード)群」三つ組による内容索引の設計を進めた。時間値については、代表者も関与してきた、人間文化研究機構で開発中のGT-Timeを参考に、JIS X0301などの標準を援用し、かつ必ず の2項表記とすること、あいまいな時間や範囲の表現については、その範囲を年数で示すこと、などを確定した。空間値については、地域中心の緯度・経度、あるいは、囲む四辺の緯度・経度で表記すること、民族名については、既に国立民族学博物館で採用しているHRAFシステムのOWCコードを援用し、対照辞書を作成した。テーマKWについては、同じく、既に作成しているHRAFシステムのOCMコード辞書、及び民族学事典等の索引に基づいた辞書を作成中であるが、シソーラスの導入など検討事項が山積している。
資料内の相関関係の発見については、既刊の『梅棹忠夫著作集 別巻 年譜・総索引』のデジタル化に着手した。梅棹忠夫自身、及び、長年整理担当を担った者によって作成された総索引項目のデータは、梅棹忠夫資料に特化したシソーラスと見なすことが出来るために、OWCコードの下位カテゴリーに位置づける。また、索引における相互参照は、まさに梅棹忠夫資料間の関係性を示すデータであり、本研究で構築する関係性リンク構造の基礎となるものである。
以上のように、平成25年度は、基礎データ作成を中心に研究を進めた。
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