タンザニアにおける狩猟採集民の生業複合に関する研究(2012-2013)
目的・内容
本研究の目的は、アフリカの狩猟採集社会を対象に、これまであまり注目されてこなかった狩猟採集民の生業複合に正面から取り組み、今日のアフリカの狩猟採集社会における農耕の多様な展開を明らかにすることである。このことをとおして、狩猟採集社会をめぐる狩猟採集か農耕かといった二元論を突破し、狩猟採集と農耕のあいだにある人びとの生業実践のグラデーションを明らかにする。近年、狩猟採集民は先住民の議論や文化観光に取り込まれることで、実際の生業実践よりも狩猟採集のイメージばかりが注目されがちだが、本研究をとおして、グローバル化するアフリカ経済のもとで、狩猟採集民がローカルに実践する多彩な生業展開のあり方を提示する。そのために、以下の3つの課題を設定する。
課題(1)狩猟採集社会の農耕実践を把握する。
課題(2)土地利用の推移を聞き取りやGIS分析および過去の画像・映像資料を利用して解明する。
課題(3)狩猟採集以外の生業活動をおこなうに至った社会的背景を明らかにする。
調査地としては主にタンザニア中央部のサンダウェ社会と北部のハッツァ社会を予定しており、比較のためにカメルーンのピグミー社会とボツワナのサン社会での調査も計画している。以上を総括し、アフリカ狩猟採集社会における狩猟採集と農耕とのあいだのグラデーションを、その実態と背景を含めて明確に示す。
活動内容
2012年度実施計画
課題(1)関連書籍を購入し先行研究からアフリカの狩猟採集民がおこなう多様な生計維持手段について網羅的に把握し、地域、国家、自然環境などによる差異をおおまかに捉える。そのうえで、タンザニアでの約4か月にわたる現地調査をおこない、ハッツァの生業(とくに観光と農耕)についての基礎データを収集する。
課題(2)調査地域の空中写真と衛星画像を収集し分析をおこない、農地や集落の位置に関する変遷を解明する。
課題(3)関連図書や文献からアフリカの狩猟採集社会をめぐる近隣農耕民との関係や国家政策に関する先行研究を調べる。
4~9月: 課題(1)に関して、サンダウェについての研究発表を以下の学会で行うとともに、African Study Monograph誌とEconomic Botany誌へ論文を投稿する。
5月20日~25日: 国際民族生物学会(於フランス、モンペリエ市)
5月30日~6月2日: ドイツアフリカ学会(於ドイツ、ケルン市)
7月14日~15日: 生き物文化誌学会(於福岡市)
さらに、(1)と(3)の先行研究分析から、11月以降の調査の詳細な計画を練る。
10月:渡航準備をする。
ダルエスサラーム大学のAudax MabulLa教授にカウンターパートを依頼し、調査許可を取得する。
11月~2月:タンザニアおける現地調査を行う。
3月:課題②を実施する。







