北米先住民ホピの知的財産権問題をめぐる文化人類学的研究(2009-2010)
目的・内容
本研究は以下の四つの項目から成り立つ。
- 日米のインターネット上で公開されているホピに関する情報の内容と動向の調査・比較・分析。
- 日米両国のスピリチュアリティ指向者によるホピ表象の内容と動向の調査・比較・分析。
- 日米の博物館が収蔵するホピ資料の調査・整理・分析。
- 研究項目1、2、3の実施事項をまとめ、必要な場合は該当研究機関より許可を得た後に、ホピのアート作家や政府関係者に提示し、彼らの認識と今後に向けた対応を把握する。
また、文献研究として先行研究の批判的検討を行う。 上記の分析に加え、他地域の研究もレビューし、総合的に先住民の知的財産と情報公開の相互関係を考察し、そのモデル化を試みる。
活動内容
2010年度活動報告
本研究計画の2年度目に実施した調査・研究・成果報告は以下の通りである。米国南西部先住民ズニのズニ博物館長による日本国内博物館収蔵資料調査について、江戸東京博物館での民族藝術学会(4月)、立教大学での日本文化人類学会(6月)にて概要を口頭発表した。5月に国立民族学博物館で開催されたサントリー文化財団のプロジェクト、および、11月のアジア太平洋資料センターでの連続講座にて、ホピ族の宝飾品産業形成史についての口頭発表を行った。日本国内における文化人類学者と米国先住民コミュニティの知的財産を通した関わりについては、10月の東北大学での共同研究会、12月の国立民族学博物館での共同研究会にてそれぞれ口頭発表をした。加えて、11月のアメリカ人類学会(米国ルイジアナ州)と、2011年1月の国際シンポジウム(北海道)では、英語と日本語による口頭発表を行い、日本語圏以外の研究者との研究成果の共有を図った。 年度内に開催された北海道大学アイヌ・先住民研究センターの共同研究でも口頭発表を2度行い(6月、11月)、研究者とアイヌ民族のアーティストや商工会役員等と研究成果の共有を行った。文化人類学を専攻する研究者や先住民族の知的財産問題の関係者以外への成果の公開も行った。10月に獨協大学で行った連続講座での講演である。米国先住民の知的財産問題に関するアウトリーチ活動も行い、日本国内の消費者、ホピとズニのアーティスト、ギャラリー経営者、自治政府知事との共有を図った。米国アリゾナ州とニューメキシコ州での3週間ほどのフィールドワークも実施し、アーティストやその拡大家族成員を対象に、制作技術やコミュニティにおける知的財産(宗教的知識)の管理の様態について聞き取りをした。これら調査で得られた資料の分析・整理を進め、学術論文を複数投稿すると共に、学位論文(社会人類学博士)を執筆した。
2009年度活動報告
米国南西部先住民による米国内外で生じる知的財産権問題への認識と対応について、主にアート市場、博物館資料、スピリチュアリティー指向者による表象を文化人類学的に検討する研究計画の初年度である本年度は、以下の調査・研究・成果報告を行った。6月、天理大学で開催された国立民族学博物館共同研究会にてホピの知的財産権問題についての概要を口頭発表した。7月、米国先住民ズニのズニ博物館長と国立民族学博物館(大阪)にて資料熟覧調査を行い、一連の作業を音声・映像資料として記録し、調査の一部を国立民族学博物館の月刊誌に執筆した。同様に11月にもズニ博物館長と資料調査を行った。12月、米国アリゾナ州とニューメキシコ州にて2カ月のフィールドワークを実施し、アーティストやその拡大家族成員を対象に、アート作品制作技術やコミュニティにおける知的財産(宗教的知識)の管理の様態について聞き取りをした。ジュエリー制作過程の記録も行った。また米国滞在中の一時期には、ホピ村落の宗教的指導者代理と共にメキシコに行き、米国人スピリチュアリティー指向者によるメキシコでの活動を予備的に調査した。日本国内では札幌、東京、大阪、神戸にてホピアート市場調査を行った。これら調査で得られた資料分析・整理のための研究活動を実施した。特に、日本の状況(アート市場と博物館収蔵資料)についてアウトリーチ報告会を数回開催し、ホピのアーティスト、ギャラリー経営者、自治政府知事・代議士・官僚、州政府官僚と共有を図った。比較研究として日本のアイヌ民族が抱える知的財産権問題について検討する北海道大学アイヌ・先住民研究センター共同研究会にて口頭発表も実施している。3月、チェコ共和国プラハで開催された国際学会(America Indian Workshop)にて口頭発表を行い、その後プラハ市内の国立民族学博物館にて米国先住民資料の調査を行った。







