国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。
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館外での出版物

中国における社会主義的近代化――宗教・消費・エスニシティ ★

2010年12月30日刊行

小長谷有紀、川口幸大、長沼さやか 編

勉誠出版
【共同研究成果】

出版物情報

主題・内容

本書は、中国における社会主義的近代化のうち、文化をめぐる政策について民族誌的にアプローチした論文集である。
中国については改革開放後をすでに「ポスト」とみなす研究者や、本質的に社会主義ではなかったとみなす研究者もいるが、実際のところ、一般の人びとにとっては、共産党が強力に進める社会主義的近代化を経験し、その政治的な拘束力はいまなお維持されている。そこで、本書では、共産党政府が発したさまざまな政策や政治運動に対して、人びとはいかに対応してきたか、またそうした対応を経て文化、宗教、エスニシティはどのようにさいへんされていったのか、といった問いを立てて、多角的に検討している。
中国本土での現地調査は、長らく制限されてきたけれども、1980年代より徐々に可能となった。本論集の執筆者はいずれも、ここ数年のあいだに長期間の綿密なフィールドワークを行い、先駆的な研究成果を生みだしている、若手の人類学者・中国研究者である。昨今の中国研究においては、もっぱら経済学や政治学が優勢にあるなかで、本書は、普通の人びとのもとで実態調査を行い、彼らの価値観や社会関係について分析し、政治や経済の内装にされている文化についての理解を提供する、という点で大きな意義をもっている。

目次

序 小長谷有紀
第Ⅰ部:宗教と信仰をめぐる実践のポリティクス
廊と儀礼の復興、およびその周縁化―現代中国における宗教のひとつの位相 川口幸大(東北大学)
上海におけるプロテスタントの宗教空間―宗教政策と日常的実践のはざまで 村上志保(立命館大学外国語嘱託講師)
中国共産党のイスラーム政策の過去と現在―寧夏回族自治区銀川市の事例 澤井充生(首都大学東京)
現代中国における墓碑の普及と「孝子」たち―陝西省中部農村の事例から 田村和彦(福岡大学)
第Ⅱ部:社会主義を消費する、社会主義が消費する
商品化される社会主義―赤いトランプを事例に 高山陽子(亜細亜大学)
都市景観の再生計画と住民の選択的参与―広州市の下町の事例から 河合洋尚(中国・中山大学)
オラーンムチル現象にみる内モンゴル・インパクト シンジルト(熊本大学)
第Ⅲ部:エスニシティ・アイデンティティの語り方/語られ方
ウイグル族と「漢化」―文化の二分法を超えて 小嶋祐輔(慶應義塾大学非常勤講師)
欺瞞と外部性―チベット現代作家トゥンドゥプジャの精読から 大川謙作(日本学術振興会特別研究員)
現代中国における宗族新興の可能性―広東珠江デルタの水上居民を例に 長沼さやか(日本学術振興会特別研究員)