国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

国立民族学博物館調査報告(Senri Ethnological Reports)

No.46 海洋資源の利用と管理に関する人類学的研究

2003年12月26日刊行

岸上伸啓 編

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刊行の目的および意義
本書は、2つの共同研究会「先住民による海洋資源利用と管理」(平成11~13年度)と「先住民による水産資源の分配と商業流通」(平成14~15年度)の成果報告である。サケ・マスやクジラのような再生可能資源の持続的利用は、人類が直面する緊急的な課題の一つである。本書では、環太平洋地域、カナダ極北地域、カリブ海、中東地域、アフリカ東海岸において先住民や地元漁民が水産資源をどのように利用・管理しているか、さらにどのように分配したり、商業流通したりしているかについて実態が報告されている。生業用資源の持続的な利用のためには、利用者と関係政府による共同管理が有効であることが示唆された一方、問題点も指摘された。また、ナマコやハタのような商業捕獲を目的とした特殊海産物の持続的な利用をめぐっては、生産者から消費者までの流通ネットワークを視野に入れて特定の資源を管理することが必要である、という結論に達した。

目次
まえがき

第1部 序論
海洋資源の利用と管理に関する人類学的研究
岸上伸啓

第2部 寒冷、亜寒冷地域における海洋資源の利用、流通、管理
次世代のための資源管理
─ カナダ西部極北地域における海洋資源共同管理 ─
岩崎・グッドマン まさみ
カナダ極北圏におけるヌナヴト野生生物管理委員会の挑戦
─ 2つの科学の統合から協力へ ─
大村敬一
カナダ極北圏ヌナヴィク地域におけるシロイルカ資源の共同管理について
岸上伸啓
内陸アラスカ先住民社会におけるサケ資源の利用と管理の諸問題
井上敏昭
海上におけるサケの「管理」
─ カナダ北西海岸の先住民漁業漁師/カウンセラーに見られる行為と認識 ─
立川陽仁
カムチャツカ半島先住民の漁業権と管理
大島 稔

第3部 温帯、亜熱帯、熱帯地域における海洋資源の利用、流通、管理
亜熱帯性回游魚シイラの利用をめぐる地域性と時代性
─ 対馬暖流域を中心に ─
橋村 修
日韓海女の磯資源利用と保全に関する海洋民族学的研究
─ 選択される「近代化」と「伝統」 ─
李 善愛
フィリピンにおける沿岸水産資源・生態系の共同管理
─ バナテ湾を中心とした最近の状況と沖縄との比較 ─
鹿熊信一郎
干ナマコ市場の個別性
─ 海域アジア史再構築の可能性 ─
赤嶺 淳
先住民の海洋資源利用と国民国家の管理
─ オーストラリア・トレス海峡諸島民のジュゴン猟を事例として ─
松本博之
マダガスカルにおけるサンゴ礁漁業の過去と現在
─ 自律的資源利用の展望 ─
飯田 卓
乾燥熱帯の沿岸域における資源パッチへのアクセス性と利用可能性
─ スーダン領紅海沿岸ベジャ族のヒトコブラクダとのかかわりに焦点をあてて ─
縄田浩志

第4部 クジラをめぐる諸問題
セント・ヴィンセントおよびグレナディーン諸島国ベクウェイ島におけるザトウクジラ資源の利用と管理
─ その歴史, 現状および課題 ─
浜口 尚
鯨類資源の利用と管理をめぐる国際対立
大曲佳世

 
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