国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

国立民族学博物館調査報告(Senri Ethnological Reports)

No.53 国立民族学博物館国際シンポジウム: 「紙の若返りを考える」

2004年12月28日刊行

園田直子 編

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刊行の目的および意義
本書は、平成15年11月23日、昭和女子大学80年館オーロラホールで開催した国立民族学博物館国際シンポジウム「紙の若返りを考える」の記録である。
19世紀半ば以降に生産された紙の多くに「酸性紙」の問題がおきており、取り扱いが不可能なほど脆弱化した図書資料は多い。従来の紙資料の保存研究は、貴重な一枚ものを主に考えてきたため、大量の冊子資料への対策が後手に回ってきたのは否めない。そこで、本シンポジウムでは、意識的に紙の大量強化処理という問題を中心にすえた。前半の講演は紙の強化処理に関する総合的かつ先端的な情報を伝えることを主眼とした。後半のパネルディスカッションでは、より広い視野から紙の強化処理の問題をとりあげた。
全体を通じて、強化処理の問題を、紙の保存という全容のなかのひとつとして位置づけることの重要性を再認識する機会となった。同時に、現在だけでなく将来を見据えて、判断を下さないといけないという長期的視野の必要性である。全体的視点と長期的視野があってはじめて、大量にある資料の「何を、どのような目的で、どう残すか」という保存方針をたてることができる。そのためには、処置方法それぞれの可能性と限界を正確に把握しておかなければならず、それこそがこのシンポジウムを企画したゆえんである。シンポジウムの内容を、いち早く、ここに資料として全体的に公開することで議論がより進展することを願い、本書を刊行する。
本書は日本語と英語の両方であらわすことで、より多くの人々に供するように配慮した。記名論文は当日の原稿に本人が加筆修正した、より完成度の高いものを掲載した。発表者が当日使用した図、写真、パワーポイントの原稿は、参考資料としてそのまま添付した。全体を通じて、オリジナル言語を尊重し、編者の責任で訳を見直している。
日本では、まだまとまった形で紹介されたことのない紙資料の大量強化処理の問題をとりあげることで、今後どのように劣化した図書資料の強化処理問題をあつかっていけばよいのかという議論を始める第一歩としたい。

目次
本書作成にあたって
園田直子
Preface
Naoko Sonoda
国立民族学博物館国際シンポジウム「紙の若返りを考える」
プログラム
Program
開会挨拶
久保正敏
Opening address
Masatoshi Kubo
趣旨説明
園田直子
Objectives of the symposium
Naoko Sonoda
「劣化紙の大量強化処理:その可能性と限界」
ヘンク・J・ポルク
“Mass strengthening of paper: an update of possibilities and limitations”
Henk J. Porck
「ペーパースプリット法の原理と活用」
マンフレッド・アンダース
“Paper splitting: its history, principles, mechanization, applications and limitations”
Manfred Anders
パネルディスカッション
Panel discussion

 
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(No.1~No.43は非売品)