国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

国立民族学博物館調査報告(Senri Ethnological Reports)

No.73 国立民族学博物館研究フォーラム: 2004年インド洋地震津波災害: 被災地の現状と復興への課題

2007年12月14日刊行

林 勲男 編

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刊行の目的および意義
2004年12月26日、インドネシアのスマトラ島北西沖を震源として、マグニチュード9.1~9.3の巨大地震が発生した。この地震とそれによって引き起こされた津波は、人的、経済的そして環境上の甚大な被害をインド洋沿岸12カ国にもたらした。本書は、平成18年1月8日に国立民族学博物館にて開催した研究フォーラム「2004年インド洋地震津波災害被災地の現状と復興への課題 II」の記録である。この研究フォーラムは、被災地の1年間の状況について、文化人類学研究および地域研究に従事する専門家による現地調査報告とそれに基づく討論からなり、本書においても同様の構成で収録している。調査の対象国は、スリランカ、インド、タイ、インドネシアである。
自然災害というと、発生直後の被害状況と救急救命活動に関心は集まるものの、時間の経過と共に、外からの支援活動は次第に縮小し、メディアの取り扱いも小さくなり、世間の関心も離れてしまうのが常である。しかし、そのことは、被災地の復旧・復興や住民の生活再建が順調に進展していることを決して意味していない。被災地では、人びとは被災という現実の中で自らの生を見つめ直し、さまざまな思いと共に生活を立て直すための長い道のりを歩んでいかなければならない。その途上には、予期せぬ新たな問題が生じ、時には被災者・被災地への支援策自体が社会問題化することもある。また災害の経験により、防災意識の高揚、自治体による災害対応能力の向上、住民自らの防災活動の活性化などが理想とされているが、その理想が実現されることは容易なことではない。災害後の復旧・復興のプロセスにおいて起きている現実を正確に把握し、社会的・文化的背景に照らして理解することが求められている。
インド洋地震津波が被害を及ぼした地域のほとんどは開発途上にあり、災害そのものだけでなく災害後の救援・支援活動も、被災地域において長期的取り組みが必要とされる問題に対して大きな影響を与えた。本書では内戦、沿岸域の開発や環境問題・NGO活動・宗教問題・文化遺産・漁業形態・住宅建設・住居移転などが、被災や支援活動との関連で取り上げられている。
目次
はじめに
林 勲男
趣旨説明
林 勲男
第1部 被災地の現状と今後の課題
スリランカ被災地の現状と今後の課題
澁谷利雄
インド被災地の現状と今後の課題
―復興の現状と文化財の被災
深尾淳一
インド洋地震津波と「海民」モーケン
―タイ被災地の現状と今後の課題
鈴木佑記
インドネシア被災地の現状と今後の課題
I. 津波後のアチェに見る外部社会と被災社会の交わりの形
山本博之
II. 津波後1年のアチェから考える復興の現場を見る見方
―支援者の目と地元社会の目
西 芳実
バンダアチェ市の復旧・復興プロセス
I. 住いの復旧・復興の全体像
牧 紀男
II. バンダアチェ市における復興段階への移行と住宅供給プロセス
山本直彦
第2部 災害過程の研究と被災地支援―コメントと総合討論
コメント1
渡辺正幸
コメント2
高桑史子
総合討論
 

 
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(No.1~No.43は非売品)