国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

在学生の研究内容 ファーハナ・ヤスミン 平成22年度 海外学生派遣事業研究成果レポート


ファーハナ・ヤスミン

海外学生派遣事業研究成果レポート

1. 事業実施の目的
バングラデシュ北部バリンド地域におけるNGO主導の初等教育に関する文化人類学的研究の実施

2. 実施場所
バングラデシュのダッカおよびラジャヒ地区

3. 実施期日
平成22年9月4日(土)から10月5日(火)

4. 事業の概要
 本事業では、バングラデシュの首都ダッカおよび北部ラジシャヒ地域において、エスニック・コミュニティーの子どものための政府機関やNGOによる初等教育プログラムや諸活動について、またそれらの活動による子ども達の生活やコミュニティーへの影響に関して、調査を実施した。具体的には、2010年9月5日から10月4日まで次のような調査を行った。
 9月5日にはダッカ大学附属図書館へ行き、バングラデシュにおける学校教育に関する文献調査を実施した。6日にはNGO団体「CAREバングラデシュ」で初等教育の仕事に携わっている2名にインタビューをした。7日にはダッカにあるNGO団体「ASHRAI」の事務所にて、二次資料の収集とエスニック・コミュニティーの初等教育に関して、専門家にインタビューをし、バングラデシュにおける教育システム、およびラジャヒ地区における初等教育プロジェクトに関する情報を収集した。また、ラジャヒ地区のどの村落で調査を実施することが妥当であるかを協議した。8日および9日には、NGO団体「BRAC」の関係者から、バングラデシュの初等教育システムとBRACの活動についての情報を収集した。さらに10日から12日にかけては、ダッカ市内の複数の図書館にて初等教育に関連する本や雑誌、報告書等の文献を収集した。
 9月13日にダッカからラジャヒ地区に移動し、複数の村落の学校やNGOなど関連機関を訪問し、データの収集を行った。9月14日にはラジャヒ地区にあるNGO団体「ASHRAI」の現地事務所を訪問し、エスニック・コミュニティーの子ども教育に関する活動について、関係者にインタビューを行った。15日にはラジャヒ大学附属図書館にて関連資料を収集した。その上で、16日から21日にかけてイドルプール(Idolpur)やシャハナパラ( Shahanapara)、ゴパルプール(Gopalpur)の村々を訪問し、初等教育や現地のNGOによる教育支援活動について、情報を収集した。10月22日にはラジャヒにあるラジャヒ地区事務所(役所)を訪問し、調査候補村落やエスニック集団について、行政情報を収集した。23日から26日にかけては、チクパラ(Zhikupara)やサトニパラ(Satnipara)、マハラン (Mahalan)の村々をまわり、調査地選びを続行した。この期間には、現地の人々とラポートを築く努力をし、現地の人々から、教育の重要性やNGO活動、彼らの教育への関心や教育を通じた生活改善への考えについて、話を聞いた。また、政府の初等教育学校やNGOが運営する学校、登録学校を訪問し、生徒たちから、学校に通うことへの関心や将来の構想について話を聞いた。また、いくつかのエスニック・コミュニティー出身者が通う学校(エスニック学校)を訪問し、教師や生徒達と話をした。
 9月27日にラジャヒからダッカに戻り、28日にはNGO団体「ActionAid, Bangladesh」および付属図書室を訪れ、初等教育に関する2次資料を収集した。29日には、ダッカにあるNGO団体「Save the Children, USA」を訪問し、子ども教育についての情報を収集した。30日にはダッカの「Ahsania Mission」へ行き、彼らの活動について関係者へインタビューをするとともに、付属図書室で情報を収集した。
 10月1日と2日にはダッカの公立図書館へ行き、初等教育関連の出版物について情報を収集した。10月3日と4日にはダッカにあるNGO団体「RDRS」を訪れ、エスニック・コミュニティー出身の子ども教育に関する2次資料を収集した。

5. 本事業の実施によって得られた成果
 今回の調査では、調査候補地の選定や村民とのラポールの構築、そして現地の学校教育やエスニック・コミュニティー出身の子どもたちの現状に関する情報収集を行うことができた。また、バングラデシュの研究者やNGO関係者、現地の人々へのインタビューを通して問題意識を明確にことができ、調査の潜在的な可能性についても知ることができた。とくに今回の調査によってエスニック・コミュニティーの文化的側面とエスニック・コミュニティー出身の子どもたちの社会的地位、初等教育の促進におけるNGOの役割という3つが、これから進める調査研究において重要なテーマとなることが分かった。今回の調査によって博士論文執筆のための調査研究の準備を十分に進めることができた。