国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

在学生の研究内容

更新日時:2019年8月27日

孫文SUN WEN

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調査地 黒水県の村落

専攻

比較文化学専攻

指導教員

主指導教員:鈴木紀/副指導教員:卯田宗平

研究題目

近代中国の「蔵羌彝走廊」における黒水人の地域アイデンティティの生成に関する研究―外部介入と開発に着目して―

研究キーワード

中国少数民族、開発、民族問題、エスニシティ、実践

研究の概要

【研究テーマ】中国少数民族地域における開発と実践-「2008・?川震災」後の四川省黒水県の事例-

 

本研究では四川省アバチベット族チャン族自治州の黒水県を事例に多民族国家としての中国が抱える開発問題について考察する。この研究の目的として、以下の五つの項目を設定する。

 1)黒水チベット族の経済生活に関わる民族誌を描写すること。特に四川大地震を経たアバチベット族チャン族自治州の生活の変化を中心に描く。

 2)黒水県における開発政策、開発プロジェクトの実施状況を調査する。またこれらに呼応して、黒水チベット族の出稼ぎ、季節的な移住、観光開発への関わりを調べ、同民族の一人ひとりの実践と開発活動の関係を解明する。

 3)開発活動と関わる黒水チベット族の実践において、人々がどのようにエスニシティを戦略的に活用しているのか、周囲の民族との関係においてどのように黒水チベット族のエスニシティが構築され、複数民族社会が成立しているのかを明らかにする。

 4)上記の問いを踏まえ、多民族国家としての中国少数民族地域における開発政策に対して、批判的かつ生産的な検討を加える。

 5)最後に、理論のレベルで、多民族国家という中国の政治現実と中国少数民族地域の文化的・歴史的特殊性を考慮した場合、西洋で発達したさまざまな開発理論がどの程度有効であるか再検討する。それに基づいて、西洋の開発理論の相対化を目指す。

研究成果レポート