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第4回 国際開発援助ワークショップ
「カナダ国際開発庁と世界銀行における人類学者・社会学者の役割:
 社会評価と参加型開発、社会の安全配慮」

2005年11月12日(土)・13日(日)
 国立民族学博物館 第4セミナー室

 ※使用言語は英語です。
 ※ワークショップは一般公開といたします。

目的
世界銀行およびカナダ国際開発庁の開発方針とプロジェクトの全体像、およびそれらの機関が実施している開発プロジェクトにおける社会・文化人類学者や社会学者の役割について検討を加える。今回は特に、人類学者や社会学者が深くかかわっている社会評価、参加型開発、少数派社会の安全保障をテーマとし、日本の援助機関と比較しながら開発プロジェクトにおける社会・文化人類学の社会的活用の可能性や必要性、限界について考える。

プログラム
第1日(11月12日土曜日)
オープニング 司会 関 雄二 (民博)
10:00-10:10
館長挨拶・ワークショップ趣旨説明 松園万亀雄(民博)
10:10-10:25
参加者自己紹介

第1セッション 「世界銀行における文化人類学者・社会学者の役割」 座長 岸上伸啓(民博)
10:30-11:15
「世界銀行における社会科学の履歴と役割」D. Aronson(世界銀行)
11:15-12:00
コメント・質疑応答
コメンテーター(1) 鈴木紀(民博客員、千葉大学)
コメンテーター(2) 佐藤寛(アジア経済研究所)
12:00-13:30
昼食・展示場見学

第2セッション「カナダ国際開発庁における文化人類学者・社会学者の役割」 座長 角田宇子(亜細亜大学)
13:30-14:15
「カナダ国際開発庁における社会人類学者の役割」 P. Bernier(カナダ国際開発庁)
14:15-15:00
コメント・質疑応答
コメンテーター(1) 草野孝久(国際協力機構)
15:00-15:30
コーヒー・ブレーク

第3セッション 「日本の援助機関における文化人類学者・社会学者の役割」 座長 水野正己 (日本大学)
15:30-16:00
「国際協力銀行の審査・評価における人類学・社会学的調査の役割」 吉田和浩(国際協力銀行)
16:00-16:30
「国際協力機構における人類学者・社会学者の役割」 杉田映理(国際協力機構)
16:30-17:00
質疑応答
18:00-20:00
懇親会

第2日(11月13日日曜日)
第4セッション 「少数派社会の安全保障」 座長 白川千尋 (民博)
10:30-11:15
「プロジェクトに影響を被る人々: 世界銀行の「安全配慮政策」」 D. Aronson(世界銀行)
11:15-12:00
コメント・質疑応答
コメンテーター (1) 斎藤文彦(龍谷大学)
コメンテーター (2) 牧野耕司(国際協力機構)
コメンテーター (3) 南出和余(総合研究大学院大学)
12:00-13:30
昼食・展示場見学

第5セッション 「参加型開発と人類学者」 座長 関根久雄(筑波大学)
13:30-14:15
「参加型開発:イデオロギーそれとも現実?」P. Bernier (カナダ国際開発庁)
14:15-14:55
「参加型開発の協力フレームと展望」赤松志朗(国際協力機構)
14:55-15:40
コメント・質疑応答
コメンテーター(1) 真崎克彦(清泉女子大学)
コメンテーター(2) 管野美佐子(総合研究大学院大学)
15:40-16:00
コーヒー・ブレーク

第6セッション 全体討論 座長 鈴木紀(民博客員・千葉大)
16:00−17:00
全員討論
コメンテーター(1) 佐藤寛(アジア経済研究所)
コメンテーター(2) 角田宇子(亜細亜大学)
コメンテーター(3) 草野孝久(国際協力機構)
参加者による討論


研究成果
今回のワークショップでは、世界銀行やカナダ開発庁、国際協力機構、国際協力銀行における文化人類学や社会学など経済学以外の社会科学(者)の役割、少数者グループへの社会(安全)配慮、参加型開発に関する報告と議論が行われた。以下、成果を要約する。

(1)今回の最大の成果は、このワークショップの実施を通して世界銀行やカナダ国際開発庁、日本の国際協力機構、国際協力銀行の実務家・職員と大学・研究所に属する文化人類学者・社会学者との間で意見交換や交流が始まったことである。

(2)より効果的で妥当な開発援助を実施するためには、研究者と実務家との対話・交流が重要であり、促進されるべきであることが認識された。

(3)世界銀行やカナダ国際開発庁では、人類学者などの社会科学者が開発援助プロジェクトの事前計画、実施計画、中間評価、事後評価、社会・環境的な影響評価の調査を実施している。とくに、世界銀行では1990年代以降、多数の社会科学者が職員として採用され、社会科学者として世界銀行の実施する開発援助に貢献している。一方、日本の国際協力機構や国際協力銀行では、開発援助プロジェクトの企画・立案・実施・評価における社会科学の重要性を認めつつも、社会科学(者)が十分に活用されているとはいいがたい。

(4)日本人の社会科学者の調査地域や研究内容に関するより詳細なデータベースを作成し、開発援助機関が利用できるようにすることが望ましいという提案がなされた。

(5)日本においては、開発に関する調査と政策決定の間にギャップがありすぎるとの指摘がなされた。研究者は政策決定に影響を及ぼすようにならなければならない一方、実務家は社会科学者や社会科学的な知識を活用する必要がある。また、開発の実務家は、開発の現状を社会科学者に知らせることも必要である。

(6)世界各地での開発援助の実施は、社会変化の要因として諸影響を地元社会に及ぼしているが、現在ではそれ以上にグローバル化の影響が強く作用している点を認識し、調査・研究すべきである。

(7)日本では「安全保障」が開発援助の中心課題として取り上げられているが、この分野に関しては社会科学者が貢献できるのではないかという実務家側からの指摘があった。

(8)開発援助におけるNGOの活動の重要性や可能性が指摘された。今後の研究課題としたい。


会議の様子 会議の様子
会議の様子 会議の様子
会議の様子