機関研究成果公開
 (課題:社会と文化の多元性 プロジェクト:トランス・ボーダーの人類学

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国際シンポジウム「移民とともに変わる地域と国家」


■日時 2007年3月26日(月)9:30〜 / 27日(火)9:30〜 / 28日(水)9:30〜
■会場 第6セミナー室
■参加方法 事前申込が必要です


グローバル化は量と速度において著しい人、モノ、情報、資本の移動をもたらし国民国家、民族といった近代がつくりあげた境界やその中で築かれてきた経済、社会機構や法制度を揺るがせてきた。日本における80年代後半以降のニューカマーの急増は、旧来の共同体の社会制度・慣習や価値体系などと衝突をおこしながら、移民側はもとより受け入れ社会においても制度や人々の意識の変容を促してきている。現在まで日本ではこの問題に対し、主に政治学、社会学などが、移民労働者や難民の国家間の流れというマクロな視点から、およびホスト社会での適応の際に生じる諸問題へのミクロな視点から関心を寄せ、社会にとって未経験の現象の解明および政策への寄与などにおいて成果をあげてきた。機関研究「トランスボーダーの人類学」は過去3年にわたり、他分野との研究交流をすすめ、移民およびホスト社会のより安定的で恒常的な社会システム、人々の意識、文化面での共生への動きに着目してきた。プロジェクト最終年度にあたり、今回のシンポジウムでは、日本における移民を取り巻く現象を、さまざまな面において共通点の多い韓国とドイツをおもな比較対象としながら考察し、その普遍性と特殊性を明らかにしたい。

プログラム
3月26日(月)
9:00-9:30
受付
9:30-10:00
開会 問題提起 庄司博史
セッション1 移住労働者をとりまく課題 司会:陳天璽
10:00-10:30
「ネパール人移住労働の形態変化」 南真木人
10:30-11:00
「韓国の移住労働者政策と民族問題」 劉明基
11:00-11:30
「ドイツにおける外国人労働者―世代交代を中心に」 森明子
11:30-12:15
セッション討論
昼食
セッション2 ディアスポラからトランスナショナル戦略へ 司会:上杉富之
13:00-13:30
「Where is home? から Home everywhere へ−漂泊する華僑・華人たちのネットワーク」 陳天璽
13:30-14:00
「越境するキムチ」 朝倉敏夫
14:00-14:30
「グローバル経済下の在日インド人社会における新たな定住地の形成」 澤宗則・南埜猛
14:30-15:15
セッション討論
休憩
セッション3 移民ネットワークと宗教 司会:朝倉敏夫
15:30-16:00
「雲南回民のトランスナショナルな社会空間の形成とイスラーム」木村自
16:00-16:30
“Spirit Possession in Transnational Times” U.アラカキ
16:30-17:00
「滞日スィク教徒の寺院と信仰」 東聖子
17:00-17:45
セッション討論

3月27日(火)
セッション4 外国人政策と外国人の地位 司会:鈴木江理子
9:30-10:00
「入管政策と多文化政策の新展開−日本を中心に」 近藤敦
10:00-10:30
「韓国における外国人政策の新たな展開−外国人の地位と総合政策−」 宣元錫
10:30-11:00
「オランダにおける移民政策の現状と課題」 新海英史
11:00-11:45
セッション討論
昼食
セッション5 帰国者を問う 司会:近藤敦
12:45-13:15
「「中国帰国者」をめぐる排除と包摂−日本との関係を中心に−」南誠
13:15-13:45
“Immigration policy in Finland and return migration” K.ビョルクルンド
13:45-14:15
「ドイツ系帰国者Aussiedler受け容れ政策と統合問題:移民と血統主義のはざまで」 四釜綾子
14:15-15:00
セッション討論
休憩
セッション6 移民言語教育−母語教育を中心に 司会:森明子
15:15-15:45
「フィンランドにおける移民の母語教育」 庄司博史
15:45-16:15
「在日コリアンの母語(民族語)教育について−総連系朝鮮学校のバイリンガル教育を中心に−」 金美善
16:15-16:45
「移住者に対するドイツの言語教育−母語教育を中心に−」平高史也
16:45-17:30
セッション討論
18:00-
会費制懇親会

3月28日(水)
セッション7 ローカルな視点からみた外国人政策 司会:南真木人
9:30-10:00
「「新たな住民」の到来と地域社会−多文化する日本のなかで変わる地域社会」 鈴木江理子
10:00-10:30
「外国人支援における支援団体と自治体の役割−京畿道安山市を事例に」 呉泰成
10:30-11:00
「グレーゾーンの移民−重層化するドイツの移民と、国家・中間団体・地域」 久保山亮
11:00-11:45
セッション討論
昼食
12:45-14:15
総合討論 司会:庄司博史
閉会

申込・問い合わせ先
庄司研究室 E-mail:hirshoji@idc.minpaku.ac.jp


成果報告
現在まで日本では1980年代後半以来の移民の急増が社会にもたらしてきた問題に対し、主に政治学、社会学,法学などが、移民労働者や難民の国家間の流れというマクロな視点から、およびホスト社会での適応の際に生じる諸問題へのミクロな視点から関心を寄せ、社会にとって未経験の現象の解明および政策への寄与などにおいて成果をあげてきた。しかし西欧の大半の国家に見られるように、現在、日本においても多民族現象が長期化し、定着し始めつつある中で、問題への初期の関心が薄れ、緊張が再燃する可能性も否定できない。国際シンポジウムでは、機関研究トランスボーダーの人類学が現在までの3年間に開催した研究会で浮上してきた、トランスボーダー現象の中で中核的なテーマを中心に7セッションを設けた。これらに関し、血統主義を国家理念の基盤とする点で,移民政策理念、および移民現象において、共通する部分の多い日本、韓国、ドイツを機軸として、各国の移民問題の比較検討をおこなった。取りあげたセッションのタイトルは、1 移住労働者をとりまく課題、2 ディアスポラからトランスナショナル戦略へ、3 帰国者を問う、4外国人政策と外国人の地位、5 ローカルな視点からみた外国人政策、6 移民言語教育―母語教育を中心に、7 移民ネットワークと宗教、である。最終の第8セッションでは、各セッションの討議のなかで、重要とみなされたテーマ、あるいは全体におよぶとみられるテーマに関して全体で討議をおこなった。これらセッションと全体討議を通じ、各国において、もはや移民を国籍を根拠に外来者として排除するのは現実的ではなく、かれらを住民として統合するための方策が各国で模索されつつある現状が明らかになった。


開会庄司博史南真木人
劉明基森明子
陳天璽朝倉敏夫
澤宗則木村自
U.アラカキ東聖子
近藤敦宣元錫
新海英史南誠
K.ビョルクルンド四釜綾子
庄司博史K. Bjorklund
平高史也鈴木江理子
呉泰成久保山亮