- 【司会】
- 曽我 亨(弘前大学:日本文化人類学会)
- 【パネリスト】
- 甲田 勝康(近畿大学:日本生理人類学会)
- 竹中 晃子(名古屋文理大学:日本霊長類学会)
- 松井 章(奈良文化財研究所埋蔵文化財センター長:日本人類学会)
- 阿良田麻里子(国立民族学博物館:日本文化人類学会)
- 【コメンテーター】
- 安室 知(神奈川大学常民文化研究所:日本民俗学会)

食物の獲得は、生物の生存と繁殖に大きな影響を及ぼす基本的な要素であり、その生物の社会のありかたをもっとも基層的な部分で規定している。 これは自然社会に生きるヒトにもあてはまる話である。また、近年の食をめぐる議論をみていると、たとえば食糧のバイオ燃料への転化が飢餓を増長していると問題視されたり、 食の安全保障が崩壊していると警告されたりしているように、「食」はグローバルなレベルで、人類社会のあり方を規定しつつあるように思える。 その一方で、たとえば義務化されたメタボリック検診が話題になったり、ダイエットが人びとの関心を惹いたり、反対に大食い大会や食べ歩き番組が根強い人気を集めたりしているように、 「食」は欲求と自制のあいだで、人格といった個人的な領域をも評価の対象にしつつあるように思えるのである。こうした現代的な現象の根底にも、霊長類のなかでも例外的なヒトに固有の食慣習が関係している可能性が高い。 一説には、食慣習のありかたの変化そのものが、人類を進化させたとの意見もあるほどである。このシンポジウムでは、人類学関連学会協議会に参加している各学会からパネリストを募り、人類の飽くなき食への希求をめぐって、それぞれの学問領域からアプローチする。 基層的な個体の次元からグローバルな社会の次元まで、多様な考えを述べあい、学際的な接続を試みたい―。

