国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館長だより

館長だより
2013年07月20日

アムステルダム大学の人類学教授Nikoさんの再訪

 アムステルダム大学人類学部教授のニコ・ベズニエ(Niko Besnier)さんが半年ぶりに本館を訪れた。今回は早稲田大学へ招聘されたのを機会に、本館で研究会を開催するためである。今年の2月に私がアムステルダムのトロッペン博物館、ライデンの国立民族学博物館やシーボルトの家などを視察した際には、ニコさんにお世話になった。
 7月20日の研究会は、本館准教授の丹羽典生さんの進行で、ニコさんが「スポーツ選手のグローバル化と男らしさの不安定性」、ニコさんの大学院生で東京の文化服装学院で学生の授業や就活を調査しているアネケ・ビーケンス(Anneke Beerkens)さんが「不安定時代の日本のファッションを学ぶ若者の希望」について発表した。ニコさんは、ラグビーやサッカーなど世界のスポーツ界における途上国から日本、フランス、イギリスなどに招聘される選手たちの一流選手として豊かな生活を夢見る希望の側面と、麻薬、スキャンダルや人種差別などの問題、そして身体性が衰えてスポーツ界を退いてからの「不安定な」境遇について話題を提供した。一方、アネケさんは、一流のデザイナーやファッション界での活躍を夢みて入学した学生たちの創作活動とそれを生かせない就職先という不安定な職業選択について報告した。「男性の身体性」という視点からディアスポラをとらえるニコさんの独創的で柔軟な発想に刺激を受けた。また、ファッション学ぶ大学生の就活が一般学生と同じ土俵で行われている現実に驚いた。どちらも「不安定性precarity」という概念を軸に、夢と希望にかける情熱と不安定な現状のはざまにおかれた若者の姿を描き出していた。


(2013年1月26日に開催した国際シンポジウム「グローバル化における紛争と宗教的社会運動―オセアニアにおける共生の技法」の写真。前列左端がニコ・ベズニエ教授。)

2013年07月20日 13:49 | 全体 海外からの来客